【二日目 ヒサゴ沼からトムラウシ山を目指して】

避難小屋の朝は早いです、4時前には皆さん準備開始です。「凄い風だわっ」おばさんの声におっさんもシュラフを抜け出して窓の外を眺めました。
まだ薄暗い上空に凄い勢いで雲が流れて行きます。「ちょっとゆっくりしようよ、このままの天気だったら止めて小屋で寝てるのも良いんじゃない?」おっさんはちょっと残念そうに呟いていたのでした。

一組、二組、、、次々と出発して行きます。おっさんとおばさんはのんびりと朝食をとり、いつでも向えるようにアタックザックに日帰り装備を積めこんで待機していました。やがて上空には青空が広がり始めました、そして風も少し弱くなり「良し、出発だっ!」、午前6時45分二人は遂に最終目的地、トムラウシ山に向かって出発したのでした。



ヒサゴ沼のほとりを行く


ジンヨウキスミレ

沼のほとりを通りヒサゴのコルへと向って行くのですが、ここにもまだ大きな雪渓が残っていました。ここを横切って行くのですが、これがなかなか緊張する場面でもあったのです。雪渓の端は沼にかかっていて、滑り落ちるとドボンとなるでしょう。前日の夕刻にここで何回か転んでいる人も見かけました、幸いその場で止まりましたが。
ゆっくりと慎重に進んで行きます。足元の雪渓を良く見ると下が凍っているところもあるんですね、昨日の人はきっとここに足をのせてとツルリと滑ったのでしょう。

雪渓をクリアすると見事なお花畑でした。蕾をつけたイワイチョウの葉が一面に広がる中に、エゾコザクラが負けじと咲いていました。それにしてもこの一帯のイワイチョウの群落は凄いですね、一部はもう咲き始めていましたがこれが満開となったらと思うと・・・





一面に敷き詰められたイワイチョウの葉の中に咲くエゾコザクラ


トカチフウロ

お花畑を過ぎると、もうひとつ大きな雪渓です、ここはコル方向へほとんど直登状態でした。前日とは違って周囲を確認しながら登って行けるので安心です。この雪渓も見通しが悪かったら怖いでしょうね。

雪渓を登り終えて岩場の沢地形を行くとヒサゴのコルへ到着です、7時20分。「今日は順調よね」おばさんはそう言いながらミネラルドリンクを飲み干しました。気温は上がっていないようですし、風も強いとのことでレインウエアの上下を着てのスタートです。





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