賑わいの山頂へ〜十勝岳(2077m)

荒涼とした光景を背に
荒涼と広がる光景を背に登る

皆俯きながら登って行く、交わす言葉は少ない。荒涼とした、いや殺伐としたと言う表現のほうが相応しい火山灰に覆われた大地を眼下に、下ホロカメットク山と境山が美しく聳える。「ちょっと休みませんか!」誰かが言った、「縦走路まではもうすぐですけど、休みましょう」yamazさんが答えた。岩の上に腰を下ろし遠くの山々を見つめる。「風が無いですねぇ」心配していた風はいつしか止んでいた。

「さあ、行きましょう」誰からともなくそんな声がかかる、、、傾斜もゆるやかになって来ると、やがて前方にはドーム形の頂上が見えて来た。

ちょっと休憩!
ちょっぴりお休み・・・(写真提供:koyaさん)

山頂が見えたぞ
奥にピークが見えてきた

縦走路に出ると山頂に立つ人影が見えてきた、、、「結構登ってるなぁ」そう思いながら登って行く。山頂直下についた頃、一気にガスに包まれた。「まぁ、いいさ、展望は以前美瑛岳まで縦走した時にイヤと言うほど見てるから」そう自分に言い聞かせながら登って行く。

縦走路へ出る
縦走路に出ると山頂は目の前

山頂へ
ガスに包まれながら・・・

11時20分、十勝岳山頂に立った。足の踏み場も無いくらい(ちょっとオーバーな表現だが)の賑わいだ。どうやらツアーの方々も大勢いるらしい。今まで誰一人として出会わなかった山行だったのだが、、、あまりの落差にちょっと戸惑った。ツアーの方々が上ホロカメットク山方面へと出発するのを待って入れ替わるように腰を下ろした。

「すごい、望岳台からの斜面に氷がついていますよ」yamazさんが言った。ちょっと覗いてみる、岩の陰に氷がついていた、私達が登って来たコースとは雲泥の差である。
山頂付近に漂うガスは時々途切れて南側の展望が開けた。そんな様子を楽しみながらのんびりと昼食をとる。

記念1


記念2
写真提供:koyaさん

下ホロ&境
山頂からは南側の展望だけが・・・

12時ちょうど、下山を開始した。またガスが流れてきて視界を塞ぐ、美瑛岳への縦走路に出てから新得コースへと導く標識は無い。yamazさんが先頭に立って進んで行く、ここは注意が必要だ。少し下りて行くと突然ガスが消えてほっとする。

登りで苦労した斜面も、靴のカカトを押しつけるようにして、軽快にザクザクと下りて行く。「まるで残雪期に歩いてる感触だね」一気に下って雪田跡でひと休み、滝の下でまた休み、、、急ぐ必要は無い、今この光景に出来るだけ包まれていたい、そんな気持ちだった。

下山開始
下山開始

一気に・・・

沢沿いの登山道は午後の陽射しを浴びて一段と輝く、「緑がすごく綺麗ですねぇ」私の言葉に「そうでしょう、このコースは本当に良いでしょう」oさんがうれしそうに言う。ハイマツトンネルを過ぎてアカエゾマツの大木に囲まれたシットリとした登山道を行く。このコースを整備していただいている方々に感謝しながら登山口に下り立った、15時10分!

編集後記:変化に富んだお勧めコースです。せっかく整備していただいている方々のためにも、もう少し歩いて欲しいですね。但し上部はコースが不明瞭なところもありますので、ガスに巻かれると危険です。ガイドブックでは「初心者のみでの行動は控えて欲しい」との記述がありますが、実際に歩いてみて私もそう感じました。

    
コースタイム(含休憩時間) 片道約8km
登山口 07:00  雪田跡 09:05  山頂 11:20-12:00  雪田跡 13:15  登山口 15:10

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