しかし雨音は除々に強くなり始めた。ゴロゴロッ・・・雷の音が着実に近づいて来る。ピカッ・・・・ゴロゴロ、、、あ〜〜〜遂に本格的に?雷鳴が響き始めた。当初予定していた高根ガ原付近の散策は当然中止だ。
こうなればもうテントの中でひたすら寝ながら停滞しているしかない。雨がテントを激しく叩く、ドドドドーーーーズドーーーン!腹の底まで響くように雷鳴が轟く。隣のテントで若い乙女?二人はキャッキャと叫びながら楽しんでいる。いや決して楽しくは無いのだが、そうしなければ、、、ただ黙って雷の音を聞いているのは耐えられないからなのかもしれない。
ピカッ・・・・・・・・・・・・・・バリバリバリ、、、ズドドドーーーン!雷鳴は暴れ狂い、雨音は容赦無くテントを襲った。シュラフに潜り込み雷鳴に怯えながら、ひたすら寝て待つ、そんな心境である。
雷鳴が段々遠ざかり、雨足も弱まって着た。ほっとしてテントの入り口からそっと外を覗いて見ると、周りにはテントがどんどんと張られ、賑わいを見せていた。どうやら雨もおさまったようである。
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ほっとしてテントの外に出た。
緑岳山頂部からなだらかに続く稜線、大きく雪渓に刻まれたトレースを横切るように移動する影(動物)、振り向けば広大な高根ガ原の向こうに忠別岳、そしてトムラウシ山が流れる雲に見え隠れしながらその圧倒的存在感を持ちながら聳えているのだった。
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緑岳山頂部(右)からなだらかに広がる稜線、手前の雪渓に避難小屋分岐からのトレースが見える
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高根ガ原、忠別岳 中央に遠くトムラウシ山
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yukuちゃんが近づいて来た「おっさま、ちょっと写真撮ってきたいんだけど、、、良いですか?、雪渓までは絶対行きませんから」。雪渓を通過して小屋へ着く手前にエゾコザクラの群落があったのだが、雨が降ってきて少し急いでいたのでyukuちゃんのカメラにはおさまっていなかったのだ。
どうしても写したい、彼女の視線からそんな熱意を感じた私は、連れてきて良かったと心から思った。
テントの前で揃って夕食だ! でも視線は皆トムラウシ山方面に向かっている。何度見てもこの広大な光景は私の心を捕らえて離さない
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「ほら、見えてきてるぞっ!やはり良いよな〜〜〜」「天気は回復、明日は晴れるよ・・・きっと」、、、
そんな願いとも思える会話を無視するかのように、山影から雲が夕日を遮るかのように立ちあがり、そしてそれはどんどんと広がり一気に高根ガ原を覆いつくして行くのだった。yukuちゃんはそんな様子を身じろぎもせずに見つめていた。
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雲に覆われた高根ガ原を見つめる
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