既に三股を過ぎてから2時間以上経過していた。少し緩んできた傾斜に緊張が緩むと、忘れかけていたザックの重さがズッシリ体に覆い被さってくる。「もう少しだと思うんだけど・・・」さすがのkoyaさんでさえ少し苦しそうだ。 もうカールに手の届くところまで来ている、しかし登れども登れども・・・苦しくなって下を向きながら息を整える、ふっと後ろを振り返ると、眼下には歩いて来た八ノ沢がまっすぐに伸びて、その先には端正な表情で1628.7mピークが聳え立ち、右に岩内岳、奥には十勝幌尻岳が見えていた。 |
![]() 眼下に八ノ沢が |
苦しかった、とにかくここは耐えなければ、、、ゆっくりと確実に足元を見下ろしながら、、、間違いなく高度は上がってきているわけであり、もうすぐカールに着くのだから、、、あせるな、あせるな・・・ |
写真提供:koyaさん |
やがて草付きの斜面の中を進むようになると、前方には白いガスとうっすらとした山肌が感じられるようになった。「さあ、いよいよだな、、、もう一息だ」私はそう自分に言い聞かせながら歯をくいしばり前に進んで行った。 |
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「カールだよぅ〜〜〜」koyaさんの声に駆け上がる、八ノ沢カールが視界に飛びこんできた。でもまだ鑑賞している余裕は無かった。とにかく早くザックを下ろしたい、解放されたい・・・ |
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