さて、いよいよ今回の山行の三つ目のポイントである芦別岳山頂部への挑戦が始まる。雲峰山から一旦少し下り~右側が切れ落ちた細い登山道を進んで行く。コルから山頂までの標高差は約200m、距離にして800mほどではあるが・・・登るにつれて山頂直下の雪渓が迫って来るのを実感する。 念のためアイゼンは持参している、しかし雲峰山でもそうだったが雪はすっかり腐った状態だったので、「山頂直下も必要ないな」とおばさんと話していた。前方から単独の男性が下って来た。「アイゼンは必要ありましたか?」と念のため感触を聞いてみた。「いやぁ~必要なかったですよ、大丈夫でした」おだやかな表情で答えてくれた言葉に一安心。 少し気分的にも楽な状況で雪渓に一歩を踏み出そうとすると・・・私達を途中で追い抜いて行った単独の女性がスルスルと下って来た。「咲いていましたよ、とっても綺麗に」ニッコリ笑って言った。「ありがとうございます、それにしても早いですね」「いえいえ、とんでもありません」そう言ってまたスルスルと下って行く。 大雪渓を慎重に一歩一歩登って行く。刻まれたステップをしっかりととらえながら・・・一旦登山道に戻ったのも束の間~再び雪渓へ。今度は大きくジグを切って進んで行くのだ。登りながら谷底まで続く雪渓を覗きこむ、「ふ~~っ」と一息ついてまた慎重に登って行く。 |
山頂への細い登山道に注意 |
いよいよ大雪渓へ |
雪渓を登り切りほっとしながら~岩場をひと登りで芦別岳山頂だ、10時55分。登山口をスタートしてから実に5時間20分を要していた。 思えばこの山に初めて登ったのが2000年6月で同じ新道コースだった。その次が2002年6月で旧道から新道へ、そして2007年には7月に新道コースを登っていた。6月に登るのは今回が3度目だが・・・12年ぶりと言う長い年月を経てのこの時期での山頂でもあった。そんな感慨に浸りながら山頂標識を見つめた。 |
山頂へ躍り出る |
「ほらっ、羊蹄山も見えているよ」近くにいた単独の男性が指を差す。確かにかなり遠くにうっすらと羊蹄山のシルエットが見えた。そしてポントナシベツ岳(1682m)の奥には一段と大きな山塊があった。「おぅ~夕張岳だ!」私はそう叫びながらシャッターを押す。 「あっちの白い山は?」おばさんの問いかけに単独の男性が「暑寒別でしょう」そう答える。それは夕張山地の鋭峰「中岳(1493m)」の奥に霞んでいた。一段と高度感を抱きながら屏風岩の奥に富良野盆地を俯瞰する、、、もちろんその奥には十勝連峰と大雪の山々が連なる。 |
遠く羊蹄山も見えていたが・・・ |
ポントナシベツ岳の奥に夕張岳が広がった 画像クリックで幅1024ピクセルの拡大画像表示 |
手前に夕張山地の鋭峰中岳(1493m)、 そして奥には白い暑寒別岳が霞む |
眼下に広がる富良野盆地と奥に十勝連峰、大雪の山々が連なる 画像クリックで幅1024ピクセルのパノラマ画像表示 |
今回の山行での最大の狙いはツクモグサだった。ネット友の「ぎょ」さんが前週に登っていて咲き始めの可愛いツクモグサを自信のブログ「ブログる revival」で紹介していた。「今年は久しぶりに見たいね」「次の週末しかないわ」そんなきっかけが私達に今回の山行を決意させたとも言える。 「わぁ~咲いてるわ!」おばさんの声に招かれるように足元のツクモグサを見る。一部咲き始めであったが他はほぼ満開のツクモグサ、この山では12年ぶりの再会にカメラを持つ手に力が入った。この撮影のために持って来た白いパラソルの出番でもあった。じっくりとファインダーを覗く・・・外側が産毛のような白い軟毛におおわれた黄色のがく片が私達を魅了する。 近くの岩場にはコメバツガザクラも咲いていた。 |
ツクモグサ(キンポウゲ科) |
コメバツガザクラ |
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