「あっ、あそこに黄色い花が咲いてる」ちょうど咲き始めたばかりのミヤマキンバイだった。「こんなに早く咲き始めるなんてビックリだね」驚きながらカメラを向ける。 「良かったね~ツクモグサも見られて」そんなおばさんの言葉に頷きながら、私はゆったりと軽食を頬張った。後続の団体さんも到着して、、、入れ替わるように私達は下山を開始した。これからである、長い長い登山口までの下りが待っているのだ。 雪渓に出ようとすると、下から3人組の人達が登って来た。途中ですれ違うのは危険も伴うので、こちらは待機状態。「ゆっくりで良いですよ~」と声をかける。その中の一人の男性が時々こちらの状態を伺って立ち止まる。「ゆっくりで良いですよ~」と再度声をかけた。次第に近づいて来て・・・「あの~ひょっとして」とおばさんに声をかけた。「北海道の山登りをネットで・・・何と言ったかな?」「北海道あれこれですか」「あっ、そうですそうです。やっぱりそうだったんですね。先頭を歩いているのが私の奥さんで、そのページのファンなんですよ」。 そんな話しが弾んで一緒に記念写真を撮り合い、、、「いつか何処かで会えるよねと話していたんです」「そうですか~こんな若い人達に見てもらえるなんて、とてもうれしいことです。これからも宜しくお願いします」。そんな言葉を交わして、アイゼンとピッケルでしっかりと装備されていた3人組と別れた。 |
ミヤマキンバイ |
登って来た3人組の人達との出会い |
ゆっくりと慎重に雪渓を下って行く。雲峰山で小休止、あの山頂直下の大雪渓を見上げると・・・大勢の人達の下って来る姿が見えていた。「何かここから見ている方が怖いよね」そう言いながらミネラルドリンクを飲み干す。 雲峰山は残雪上を一気に下った。半面山~鴬谷へ・・・旧道から登った人達や本谷から登った人達なのだろう、どんどん追いついて来て下って行く。 |
山頂直下の大雪渓を下る |
山頂直下の大雪渓を下る人達(雲峰山からズーム撮影) |
雲峰山の雪渓を下る |
エゾイチゲ |
ミツバオウレン |
コヨウラクツツジ |
いよいよ、最後のポイントである鴬谷から登山口までの長い下りに入った。鴬谷まで下ってほっとするのだが、、、距離的にも標高差から言ってもまだ半分以上もあるのだ。それをしっかりと意識していなければ、これからの道程はとてつもなく長く感じてしまうだろう。半面山で私はカメラのレンズを取り替えていた。花の再撮影モードである。登りで見られた花々をもう一度確認しながらカメラにおさめる。こうしていると、長い下りも意外と忘れてしまいそうになる。14時55分、登山口に下り立った。「お疲れさまぁ~」満足の行く山行にその表情は明るい。 さて、今回の山行で見られた花々の最後である。 「フギレキスミレ」、ケエゾキスミレの葉に不規則な切れ込みがあるタイプである。葉の切れ込みはやや浅いものも多く判別は難しい。混生しているような群落もあった。 |
フギレキスミレ |
ケエゾキスミレと混生しているようにも見えた |
そしてもうひとつは、トイシノエンレイソウである。今年はその和名の由来である山に登って見ることも出来たが、ここ芦別岳でも確認することが出来た。ここの個体はどちらかと言うとちょっと小型の印象を受けた。 |
トイシノエンレイソウ |
【編集後記】 今回の山行では、事前に周到な準備を重ねた。ツェルトや応急用の薬品、アイゼン、非常食等の装備の再チェックはもちろんのこと、一番 重点においたのはコースの把握と言うことだった。各ポイント毎の所要時間や区間距離、標高差を洗い出し、ガイドブックのコースタイムと照らし合わせて自分達なりの予定コースタイムを作成した。つまりそれよりも大幅に遅れるようであれば予定を変更しなければならないと言う自分達へのアラームでもある。地図上にそれらの情報を網羅しておいた。長い山行の時には結構役立っている。 下記はコースタイムである。 |
登山口 05:35 見晴台 07:05-07:15 鶯谷 08:05-08:15 半面山 09:05-09:15 雲峰山 10:00-10:15 芦別岳 10:55-11:30 雲峰山 12:05-12:15 半面山 12:35-12:40 鶯谷 13:20-13:25 見晴台 13:50-13:55 登山口 14:55 登り(休憩含む) 【計画 5時間30分】 5時間20分(内休憩 45分)実歩行時間:4時間35分 下り(休憩含む) 【計画 3時間50分】 3時間25分(内休憩 25分)実歩行時間:3時間 ガイドブックコースタイム(休憩含まず) 登り 4時間20分 下り 3時間 |
登山ものがたりへ | HOME |