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今回の行程は、登りは迂回路経由〜下りは通常コースで、標高差549m距離にして往復約5kmである。私達は過去4回登っているが、そのうちに3回は下山後の歌才ブナ林がセットの山行だった。今回もその予定だったのだが・・・

さて、話しは戻って〜「それにしても・・・」何か怪しい雰囲気が漂い始めた、上空を雲が覆い始めていたのである。ぐんぐんと暗くなって来る。「長万部岳は?」「えっと、、、雲の中みたいだぞ」、ちょっと〜いや、かなり落胆気味に呟く〜それでもまだ希望は捨てていない。ひょっとして又青空が広がって来るかもしれないと、祈るような気持ちで進んで行く。

やがて前方に大きな黒松内岳山頂部が見えて来る。とても800mにも満たない山とは思えない迫力である。風が強くなって来て寒々とした晩秋の寂しさを一気に加速したような山行になりつつあった。「こんな筈じゃあ無かったんだけど・・・」と俯きながら愚痴を言う。

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上空が雲に覆われ

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前方に迫力ある山頂部が・・・

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何度も振り返りながら〜山頂に向かって急登が始まった。流れの速い雲は束の間の日射しを降り注ぐ。そのたびに「それっ、今だっ」とばかりにシャッターを押す。「ほらあっちも綺麗だよ」「ああ〜青空と日射しがもっとあれば最高なのに・・・」交わす言葉は風音で吹き消されそうだった。

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登って来た尾根を振り返る

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背の低い笹、そして草付きの急斜面〜時々青空が見えて「晴れてくるかも・・・」と淡い期待を抱きながら登って行く。最後は固定ロープも張られている急斜面だ。足元をしっかりと確保しながら慎重に登って行く。黒松内岳山頂部への登りは遮るものの無い急斜面だ、「悪天候の時には避けたい山」でもある。

登り切って笹の刈分け道を少し進むと黒松内岳の山頂に到着だ、9時35分〜登り始めてから1時間40分だった。山頂では先行していた単独の男性が下山準備をしていた。「途中で長万部は見えましたか?」と尋ねると、「ちょっとだけでした、まさかこんな天気になるとは思わなかったんですけど」・・・大平山方面に漂う低い雲が恨めしい。それでも山頂直下には見事な紅葉が広がっていた。まるで全体が紅葉で覆われている印象である。

単独の男性mさんは「もうちょっと待ってみようかな」と言いながら「ひょっとして北海道あれこれの・・・」「あっ、そ、そうです」「いつも拝見していますよ」、とうれしい言葉を頂いた。mさんも札幌から来られたと言う、私達と同じで今日は最高の天気になると期待されていたそうだ。回復しそうも無い天気に「ダメなようですね〜それじゃお先に」とmさんは下山して行った。

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固定ロープのある急斜面

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最後は笹の刈分け道

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大平山は低い雲の奥に隠れて

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山頂直下の紅葉は見事だった

10時ちょうど、私達も下山を開始した。眼下に広がる紅葉を見ながら急斜面を慎重に下って行く。次から次と登山者が登って来る、「こんにちは」「ありがとうございます」譲り合いながら急斜面をすれ違う。

数名のグループが登って来た、「去年室蘭岳の水元沢コースでお会いしましたよね」と女性の方から声をかけられた。「そうでしたか、どうも・・・」とお礼を言う。交わす言葉は山でのうれしい出会いだ。「晴れると思ったのにね〜」「本当、残念ですよ〜綺麗な紅葉なんですけどね・・・」、、、「それじゃあ、気をつけて」。沢の奥深くに一瞬日射しが降りそそいだ、何度も何度もシャッターを押す。

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斜面を覆う紅葉を見ながら

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一瞬日射しが降り注いで輝く紅葉

おばさんは紅葉の中に溶け込むように下って行く。登山口近くで登山道の整備をされている方々に出会った。地元の山岳会の方々だろうか?「ご苦労さまです、ありがとうございます」お礼を言って〜11時ちょうど、登山口に下り立った。「歌才のブナ林は中止だね」一向に好転する気配の無い天気に、私達はそのまま帰路へ着いた。

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コースタイム(含休憩時間)

登山口 07:55  (1合目〜ブナ林コース) 3合目 08:20  528m 08:55  山頂 09:35-10:00  登山口 11:00

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