イワオヌプリ山頂では休むことも無く、そのまま下山を開始した。遠く青空は見えるのだが、上空は雲に覆われていて、近くの山々に影を落とし始めていた。火山灰に覆われたクレーターの縁を下って行く、視界の利いている時には問題は無いが、ここでガスに巻かれてしまうと大変怖いところでもある。標高差が366m、1時間程度で気軽に登れる山ではあるが、気象条件によっては厳しい山でもある。 イワオヌプリのクレーター縁から下る頃、次から次へと登って来る人達で賑わって来た。私達は分岐から大沼方面へと進んだ。ちょっと笹被りもあるがなだらかな登山道を10分ほどでイワオヌプリと小イワオヌプリのコルに出る。「輝きが無いわねぇ〜〜」「うん、、、」ため息をつきつつ見るナナカマドやダケカンバの葉は枯れているものが多かった。「やっぱり、この間の雪の影響かな〜」、10月2日から3日にかけて雪が積もり倶知安から五色温泉への道道は通行止めにもなった。なんともタイミングの悪い雪だったのかもしれない。 |
クレーターを見ながら |
小イワオヌプリのコル付近 |
コルからは前方の標高980mほどのコブに向かって進んで行く。高度を保ったまま斜面をトラバース〜尾根に出て少し下ると、眼下に硫黄鉱山跡を見下ろす展望台とも言える地点に出る。ザックを下して大休止、右奥に日射しをうけたワイスホルン山頂部をうらめしそうに見ながら〜じっとその時を待つ、そう〜流れる雲が切れて日射しが照りつけるのを待つのだ。 「晴れろぅ〜〜〜」と叫んだが、、、むなしく響く声はとても天まで?届かない。「こりゃあ、今日はもうダメかな〜」、この後の行程は別に決めていなかった、天気次第では鉱山跡まで下り、大沼までとも思っていたのだが、、、 その時、単独の男性がやって来た、、、「あれっ」「あらまぁ〜〜」、、、「お久しぶりです」「こんなところで出会うとは」。札幌の知人kさんだった、やはり私達と同じくこの鉱山跡の紅葉を目当てに来たようである。「残念ですね〜」「これじゃあねぇ、、、ちょっと待ってみようと思ってるんです」。今年の大雪山系の紅葉の話しや、ニセコ周辺の状況など・・・話しが弾む。 「おっ、、、来たかな???」「光って来たよっ」、、、ファインダーの中には何とか鉱山跡の紅葉が見えていた。数ショット撮り終えるとほどなく雲の影に覆われて行く。「これからイワオに登ってみます」と言うkさんは一足先に戻って行く。私達も数分後にはこの場所を離れた、もちろん鉱山跡に向かうことは無かった、これ以上の日射しは期待出来ないと思ったからである。 |
鉱山跡を見下ろす |
鉱山跡をズームで |
ニトヌプリへの分岐で、そのまま下山するおばさんと別れて〜私はニトヌプリのコルに向かって下った。どうしても見ておきたかった場所があるからだ。火山灰に覆われた急な滑りやすい坂を下って行く。ニトヌプリから戻って来る数名の人達とすれ違ったが、登山道は静かなものである。時折イワオヌプリを登る人達の歓声が聞こえる程度だ。 ニトヌプリのコル付近に大きな岩塔がある、紅葉時期には周辺の光景も含めて「絶好のロケーション」と、私のお気に入りなのだ。コルに立つころ、、、見上げる空の雲間から少し日射しが見えて来た。そしてその流れからすると〜少し待てば雲が切れそうである。私はザックを下した、「やったぞっ、晴れるぞっ」小躍りする気持ちをおさえながらその時を待った。 待つこと数分、岩塔周辺が輝き始めた、、、そしてその輝きは〜小イワオヌプリからイワオヌプリまで〜「お待たせしました」とばかりに広がって来たのである。「ほ〜〜〜どうもどうも」私は感謝の気持ち一杯でシャッターを押した。「こうなりゃ、もう一度」と分岐から再度大沼方面へ向かい小イワオヌプリのコル付近の紅葉もカメラにおさめた。さすがに、、、鉱山跡の確認まで足は伸びなかったが〜 |
お気に入りの岩塔 |
小さな渓谷の奥に小イワオヌプリ |
奥にイワオヌプリ |
手前にマルバシモツケの紅葉 |
再度訪れた小イワオヌプリのコル付近 |
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