登山道は1742mコブの北側を巻いて進んで行く。残雪期には十分注意が必要な地点だが、沢に向かって落ち込む急斜面を見ながら進む登山道はこの時期でも油断は禁物である。濡れた岩場やザレ場など慎重に通過して行く。 1742m基部が近づくにつれてやっと登山道にも安定感?が出て来る。沢の急斜面へ向かって秋彩が流れ落ちるように敷き詰められている。「これだよ、これこれ」、私は以前感じたままの光景が目の前に展開されている事で饒舌になっていた。「これで日差しがあればな〜〜〜もっともっと鮮やかだし、、、だけどガスの流れもちょっとムードがあって良いし、、、」 |
そんな私にはあまり反応はせずに、おばさんは先に進んで行く。そして「ほらっ、、、ほらっ、、、見えてくるよ〜〜〜」と大声で叫んだ。「大槍だな〜〜〜」私はあわてておばさんを追った。 大槍のシルエットが段々浮かび上がって来る。「それ〜もう少しだ〜〜〜頑張れ」 一体何に頑張れと言っているのかわからないが、私は叫んでいた。そんな声にこたえるかのように、大槍の岩肌が見えて来る〜凄い迫力である。もっと、もっとクッキリと見たい、私は先を進もうとするおばさんに声をかけた。「ここで少し休もうよ」「そうね、もう少し待ってるともっと見えて来るかもしれないしね」ザックをおろし、周囲の紅葉にカメラを向けながらしばらくその場でくつろいだ。しかし次から次と湧き上がって来るガスは又大槍を覆い隠して行く。 |
大槍が迫る |
「こんなところかな〜〜〜まあ、帰りもあるし、行こうか」、山頂まであと1kmの標識を見ながら登って大槍の基部に到着。もちろんここでも大休止である。とにかく最近の私達は休む時間が多い、それは疲れをとると言うよりも周辺の山容や花模様を楽しむためと言って良い。ちょっと水分補給をして写真撮影に専念する。何度か訪れているから定点観測のようにピンポイントで楽しむ。 平山方面への吊尾根、アンギラスの山裾の一部が日差しを受けて輝いている。残念ながらあの恐竜を思わせるピークはガスに包まれていて見えなかった。 |
アンギラスは姿を見せない・・・ |
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