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おっさんは以前から登ってみたいと思っていた山がありました。それは無意根山から東に派生する尾根の末端付近にある893.4mのピーク、小白山でした。Webで情報を集めて地図でルートを作ってみる、沢を渡るので時期的なことも考えながら狙っていたのです。「今年は雪が多いし、もう沢も埋まってるよ、行ってみようか」

2006年1月21日、おっさんとおばさんは国道230号線で定山渓温泉を過ぎてから約4kmほど、クマ牧場向かいの無意根山登山口の標識のある除雪されたスペースに車を止めていました。

「ちょっと見て来るから」おっさんはそう言って林道入口へと向かいました。「無い、無いよ・・・トレースが全く無い」おっさんは唖然としながら佇んでいたのです。「まあ、しょうがない、行けるところまでって事で行こうか」、午前8時30分、二人はちょっと憂鬱そうな表情でスタートしたのでした。

林道入口

ラッセルは概ね30センチ前後、しかし結構重い雪のようです。「ここはあせっちゃいけないな、ゆっくり行こう」おっさんはそう言って進み始めました。今回はなだらかな林道歩きが約3.5km、そして尾根に取りつき2km弱、尾根取りつきから山頂までは地図上での確認だけ、実際には歩いていませんから、どんな地形が待っているかわかりません。とにかく林道部分ではあまり体力を消費したくないと思っていたのです。

約1時間で送電線下を通過、「まあまあのペースだね」二人は休憩しながら上空を見上げました。「ゴーーゴーー」送電線を吹き抜ける風の音のようです。少し薄日を感じるのですが時折吹きつける風が木々を纏った雪を吹き散らし、突然一面真っ白になり・・・「まあ、今日はこんな感じかもしれないね」

林道1

林道2

「まだかしら、、、あと宝来小屋までどのくらい?」「う〜〜〜ん、あと500mくらいかな」おっさんはそう言いながら腕時計を見ました。スタートしてから既に2時間を過ぎています。「少しスピードをあげようかな」そう呟いて先頭を進みました。しかしすぐに「ラッセル交代!」と叫んでおばさんに先頭を譲る始末! おばさんも少し進んでは立ち止まり、また進む、そんな様子を見かねておっさんが交代する。

「小屋はまだかしら・・・」「うん、そろそろだと思うんだけど、見えないね〜〜〜雪に埋まっているのかなぁ」おっさんはそう言いながらGPSで現在地を確認しました。「待って、もう過ぎてるよ、、、」唖然としたおっさんの声が響きます。「小屋は雪に埋まってて見落したか?」おっさんの脳裏はクルクルと回りました、、、「そ、そ、そうだ、地図のさぁ〜、この宝来小屋の位置は変わってる筈だ、現在はもっと上にあるんだよ、そうだそうだ、確かそうだよっ」

結局当初予定地点よりも300mほど先まで進んでいました。あわてて沢の方向へ向かいましたがとても降りられそうにもありません。戻りながら沢へのルートを探しました。「ヨシ、ここからなら行けそうだ」、11時10分なんとか沢に降り立ちました。沢を渡ってホッとひと息!

沢を渡る
沢を渡る(帰路撮影)

スタートしてから既に2時間40分、いつもなら続くラッセルにうんざりして途中撤退をするところですが、何故かこの日は二人ともその素振りを全く見せません。ここで止めたら単調な林道歩きだけで終わってしまう、これから先がいよいよ未知の尾根への登りだ!そんな考えが二人を支配していたのでしょうか。

沢を渡るとちょっと複雑な地形が待っていました。コンパスで方向を確認して木々の比較的少ない斜面を登り始めました。沢地形を少し登って尾根の末端に取りつく、木々の間を潜り抜けて前方に大きな尾根を感じる、二人は黙々と登って行ったのでした。

尾根取りつき
尾根取りつき

尾根取りつき2

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