八ノ沢出合へ

「今年は水量が少ないですね」koyaさんの言葉通り、渡渉は深いところで膝上程度、でも流れの速いところもあり、安心は出来ない。一歩一歩足元を確認しながら慎重に進む。

koyaさんはどんどんと先に進んで行く。あまり巻き道は通らずにジャブジャブと川の中を歩くことが多い。この暑さでは巻き道よりもずっと快適だ。そんなkoyaさんを追うようにしておばさんが続き、私が最後を歩く格好である。

渡渉写真提供:koyaさん

巻き道を出たところで、ちょっとしたへつり個所を通過した。おばさんはちょっとためらったものの、スタンスとホールドをしっかりと確認して慎重にクリア、

koyaさんはどんどんと先に進むので、このあたりは自分達で判断しながらの遡行となる。おばさんも心得たもので、koyaさんの進んでいる方向を確認して自分にあった個所を選びながら歩いていた。

へつり

10時15分、八ノ沢出合へ到着。もう山頂に向かって出発したと思われるテントが4張り、、、確かにここに前泊して翌日日帰り装備で登れば、体力的ダメージもかなり少ないかもしれない。
しかし今回は何としてもカールまでテントをあげたい、重い装備でこれから始まる苦難の道のりにあえて立ち向かい、八ノ沢カールに浸りたい、それがカムイエクウチカウシ山に対する礼儀だと、私は勝手に考えていた。

八ノ沢出合

やがてカールが見えて来る、、、どうやらカール壁の上は厚い雲に覆われているようだ。「どうなんでしょうね、あの雲は・・・なかなかとれそうにもありませんね」「まあ、明日もあるんだから、、、今日は駄目でもね」私もkoyaさんも祈るような気持ちで見つめていた。

カール上部は雲の中

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