そしていよいよ当日を迎え、赤岩峠からまずは東赤岩山方面へ向かったのだ。
私は困惑していた。岩の写真は写したことが無いし「adachiさんのイメージするものってなんだろう?」
そんなことを考えていると間もなく、ひとつの岩が見えてきた。
目の中に入った岩は朝のさわやかな光りと、影で美しく輝いている。思わずシャッターを押してみる。
「この岩なんに見えます?」と、adachiさんに聞かれ、ふっと我にかえった私は、イメージをチェンジしていた。「そっかぁ〜〜ネコですねぇ〜」「そうでぇ〜〜っす」
adachiさんに聞かれるまで、私はその岩に対して「美しい、光っている、輝いている、影がきれいっだ」という目で直感的にとらえた現象にだけ反応していた。そしてその反応をカメラに収めようとシャッターを押したのである。
最初から「猫が後ろ向きにすわっているように見える岩」という意識で見ていたら、違った意識でシャッターを押していたかもしれない。
写真って、自分の目で見た印象と、写った画像の印象が一致していることほど、うれしい事はないし、逆に全く違った印象で写っていることが大多数であり、それだから又面白いという面もある。
もちろんその写真データを加工していくうちに、あっと驚く絵?が出来てしまうことがある。現実とは違った映像かもしれないが、それはそれで、又違ったひとつの楽しみ方なのかもしれない。
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