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樹林帯へと進んで行く、日射しは遮られるもののほぼ無風。すぐにじっとりと汗ばんで来る。このところの北海道の暑さは異常とも言えるほどだった。それでも比較的気温の低い地域だからと思ってはいたのだが~何せ息苦しさを思えるほどの湿気である。その割にまとわりつくような虫が少ないのはどういう訳だろうか。「こりゃあ、今日は何処まで行けるかだね」いつも無理をしない私達だが、この日も一段と警戒を要する状態だったと言える。

第四休憩所でザックを下して大休止、沢のせせらぎが冷気をもたらしているのか~蒸し暑さは和らいだ。「すごいね、自然の力って」そう言いながら汗を拭き凍らせてきたミネラルドリンクを喉に流し込む。ここまでの登山道はほぼなだらか~いよいよ5合目に向かって登りが始まることになる。

「あっ、クマゲラの声よ!」「うん聞こえたよ、どこだろうね」緊張が走るのだが・・・見回す周辺にその姿は確認出来ない。さらに登って行くとまたクマゲラの声だ。それは森の奥から聞こえているようだ。「そのうち近くに来てくれるかも?」などと淡い期待を抱きながら歩を進める。「これってクマゲラの・・・」おばさんが指差す先はなんと4合目の標識。そこに食痕らしいものを見つけてビックリ。そんなふれあいを感じながら5合目へ、7時40分。




第四休憩所過ぎると登りが始まる


何と標識に・・・クマゲラの食痕だろうか


5合目へ

さて、今回の山行レポートも花紀行である。登山道脇で見られた花々に注目してみよう。エゾシャクナゲがあちこちで咲いていた。その大きな花はとても存在感がある。ツルアリドオシ、この山域では果実は何度か見ていたが、今回は少ないながらもまだ花が咲いていた。アカネ科の多年草で、コケの上を這うように咲くさまが可愛い。果実ではイワツツジやヒロハヘビノボラズ。5合目から上部の岩尾根ではアポイハハコやホソバトウキが咲いていた。


エゾシャクナゲ


ツルアリドオシ


イワツツジの果実


ヒロハヘビノボラズの果実


アポイハハコ

ホソバトウキ


5合目に飛び出すと視界が一気に広がって~強い陽射しが照り付けていた。歩き始めの頃の蒸し暑さは無いものの気温はぐんぐん上がってきているようだ。馬の背から山頂へと続く稜線が見えていた。山頂付近には雲が流れているようである。「このままなら山頂付近は案外涼しいかもね」そんな期待を抱きながら水分補給。

いよいよ馬の背に向かって岩尾根を登って行く。足元を確認しながら~ゆっくりゆっくりと、そんな俯き加減に歩く私達の頭上で野鳥が囀りはじめた。すぐ近くの松の上にとまっていたのはホオジロだった。しばらく囀ってくれたおかげでカメラにおさめることが出来た。それにしても暑い、汗が噴き出して来る。


馬の背から山頂方面へと続く稜線を見る


馬の背へ向かって


囀り続けるホオジロ


岩尾根を登る

そんな辛い暑さに耐えながらの今回の山行ではあったが~いよいよ登山道脇を彩る花々に圧倒されることになった。まずはイブキジャコウソウである。シソ科の小低木で1cmにも満たない花冠がまとまってつく。一面を埋め尽くすようにあちこちで見事に咲いていた。その白花品は品種シロバナイブキジャコウソウと言うそうだ。

もう一つがキンロバイだ。この小低木が生える地域は限られるようだが、これだけまとまって見られるのがうれしい。イブキジャコウソウと隣り合わせ?で咲いていたり、一面を埋め尽くすかのように黄色い花を散りばめていた。


イブキジャコウソウ




品種シロバナイブキジャコウソウ


イブキジャコウソウとキンロバイ


キンロバイが美しく

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