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見上げる急斜面、おばさんとnakaさんはもうピークの手前まで進んでいる。ほどなく「わぁ~見えてるよ~」おばさんの声が聞こえる。気持ちははやるものの~不安定な足元はそれを許さない。慎重に一歩一歩登って行く。11時ちょうど、私達はルチシ山頂上に立った。尾根取付き地点から2時間45分であった。

「わぁ~凄いね~~~」「クッキリだよ」、頂上に立つことによって初めて視界に飛び込んで来る展望は、それこそ山登りの醍醐味でもある。大展望が広がっていた。目の前にはオキシマップ山、そしてそのピークはやや隠れるものの頂上稜線が見える豊似岳、そしてルチシ山から北東に連なる細く険しい稜線が挑戦を待ち受けるかのように鎮座する。視線を転じると遠くアポイ岳やピンネシリ、そして袴腰岳の奥に見える白い山並みは楽古岳や十勝岳だろうか。

高度感たっぷりの頂上、そして眼下に広がるブルーの太平洋、そして遠くえりも岬も見えていた。日高山脈の最南端が最終的にえりも岬へと落ち込むさまが実感として伝わってくる。

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頂上へ

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中央奥に豊似岳、右端がオキシマップ山

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ルチシ山から連なる稜線が美しい
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遠く左端にアポイ岳、そしてピンネシリへと連なり、右手前の袴腰山の右奥に白い山容が小さく見えていた。

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高度感たっぷりの頂上(奥におばさんが立っている)

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奥にえりも岬を見る

頂上付近で見られた花々では、やや終盤ではあったがミヤマアズマギクがまだ咲いていた。他ではフデリンドウがあちこちで見られた。以前登った時にその白花を確認していたが、今回もうれしい再会?を果たすことができた。

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ミヤマアズマギク
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フデリンドウ

フデリンドウ(白花)

「いい山だよね~」「最高ですね」「この高度感が・・・」そんな言葉を交わしながら腰を下す。今回もkusaさん提供のそうめんに舌鼓だ。「最高ですよね」「うまいなぁ」ズルズルと音を立てながら喉に流し込む。風は弱く寒くも無い、かと言ってそれほど暑くも無い。視界良好の大展望を目にしながら至福のひと時が続いた。

正午を知らせるサイレンが聞こえて来た。「ここまで聞こえるんだ」ちょっとビックリしながら立ち上がる。「そろそろ下りましょうか」「気を付けましょうね」「足元注意ですよ」お互いにそう言いあいながら慎重に下って行く。「ら~~~く、ら~~~く」それでも時折足元から小さな岩が転がり落ちる。そのたびに大声で注意喚起だ。

急斜面とは言え、やはり下りは早い。「もうこんなに下ったんだね」「ほら、あそこまで登ったんだよ」自分の足を褒めながらの会話が楽しい。ヤマツツジが強い日射しを浴びて一段と輝きを増していた。

尾根取付き地点の林道に飛び出した。「お疲れさまでした~」「最高でしたね」「綺麗だったわ」「また機会があったら登りたいですね」全員大満足の山行に交わす言葉も弾む。

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慎重に下山開始

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一気に高度を下げて心地良い尾根に出る

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ヤマツツジ
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さて、今回見たかった花であるキスミレは、やや終盤ではあったが見る事ができた。それはエゾキスミレと言うべきなのか、トカチキスミレと言うべきなのか。アポイ岳で見るエゾキスミレよりは葉は薄く光沢もやや鈍い。図鑑ではエゾキスミレは花が一個だけつくとされているが、今回は二個ついたものも見られた。そんなわけで私の世界では、ここで見られるのはトカチキスミレとしている。

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