2017年9月3日(日)、私達は銭函天狗岳を目指す事にした。午前7時30分、ゲート前に1台の車がとまっているだけの登山口に到着。「まだちょっと早かったかな~」、上空は広く雲に覆われていてどんよりとした雰囲気である。「段々晴れて来るんじゃない」、天気予報からもそんな天気の流れを感じながらゆっくりと装備を整える。 午前8時ちょうど、登山口をスタートした。ほどなく「入山者の皆様へ」と書かれた注意書きの看板を見る。ヒグマ出没への対応が主な内容になっている。すぐに鉄製の橋を渡って笹に囲まれたゆるやかな登山道を進んで行く。ほどなくして前方に銭天山荘が見えて来た。札幌山岳会のプライベート山荘だ。 さすがに登山道脇に咲く花々はもうすっかり秋模様だ。エゾゴマナやクサフジは花盛り、そしてシダ植物のフユノハナワラビが地味に咲いていた。地味と言えばこれもそうだ、アカバナ科のミズタマソウ。ウシタキソウとの区別が難しいが、葉の形と茎の毛そして果実についた溝、さらに果実が密集していないこと等から判断した。脈が目立つ葉の間からぶら下がった黒い果実はホウチャクソウだろうか。大株のツルニンジンが咲き始めていた。 |
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注意書きの看板を見て |
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鉄製の橋を渡り |
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笹に囲まれた登山道 |
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銭天山荘 |
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エゾゴマナ |
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ツルニンジン |
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山荘からは沢に沿ってゆるやかな道程だ。今回の行程は距離は約2km、標高差は約437mだ。短時間で登られるし高度感も十分あって楽しめる山でもある。このコースの特徴は自分なりには三つの急登ととらえている。一つ目の急登は沢から尾根に出る付近、二つ目が尾根から肩への急斜面、三つ目は岩壁を回り込んで頂上へ向かう斜面である。特に尾根から肩への急斜面は固定ロープのお世話になりながら一汗もふた汗もかくことになる。 「あっ、この実はナニワズじゃない?」おばさんが指差す。葉が落ちて真っ赤な果実だけが実っている。春には黄色い花を咲かせる小低木だ。夏には葉をおとしてしまうので「ナツボウズ」とも呼ばれるらしい。この果実は有毒なのでご注意を! キツリフネが終盤を迎えていた。この山域ではその品種で淡い色のウスキツリフネも見られる。 「おはようございます」2名の男性が先に進んで行く。ほどなくして単独の男性が登って来た。私達はいつも通りのゆったりペース。 やがて登山道は尾根に向かって登り始める。前述した一つ目の急登である。急なうえにやや湿った足元が滑りやすい。「ここ注意だよ」と声をかけながらゆっくり登って行く。立ち止まり汗を拭っていると早くも下りて来た方々がいた。「早いですね」「いやぁ~私達よりももっと早くて6時半ころに下りて来た人がいたよ」。短時間で登れる山とはいえ・・・いやはやビックリである。 |
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沢に沿って進み |
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尾根に向かって急斜面を登る |
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尾根に出ると傾斜は緩んで、眼下にゴルフ場が見える。ゴルファーの声やカートの音、ナイスショットの響きが聞こえて来る。そんな環境の中を登っていて妙な?気持ちになる人もいるようだが、私はあまり気にならない。マイペースの故なのか鈍感なのか・・・、それよりも徐々に斜度が増して来る登山道に気を引き締めるほうが強い。 先行するおばさんは淡々と登って行く。何度も登っている山だからお互いにその注意点は把握している。私はそんな様子をカメラにおさめながらおばさんの後を追う。いよいよ傾斜が急になって~やがて固定ロープが張られた登山道となり、足元に注意しながらゆっくり確実に登って行く。立ち止まり汗を拭いながら「ふぅ~」とため息をつく。ここが前述した二つ目の急登だ。この山では一番きついところでもある。ここではすれ違いも大変、登り優先ではあるが場合によっては下り優先の譲り合いとなる。 やっと傾斜が緩んで来ると、岸壁の肩にむかってゆるやかな登りとなる。やがて前方に岩壁を見るといよいよこの山の核心部に来たことを知る。垂直に切れ落ちた岩壁はガイドブックによると落差40mほど。標高は536.7mとやや低い山ではあるが「天狗山」の名に相応しい光景を目にすることになるのだ。 |
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ゆるやかな尾根を進み |
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徐々に斜度が増して来て |
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固定ロープが張られた急斜面 |
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肩へ向かってゆるやかな登り |
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岩壁の基部に立つ |
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垂直に切れ落ちた岩壁を見る |
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エゾノコンギク |
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カワミドリ |
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チョウセンゴミシの果実 |
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