頂上向かって岩壁の右を回り込んで登って行く、ここが三つ目の急登個所であり最後の登りともなる。「もうすぐだよ」私の声に頷きながらおばさんはゆっくりと歩を進めて行く。視界が開けると左側がスッパリと切れ落ちた岩壁の縁に飛び出す。おばさんが岩壁の上に立った。高所恐怖症の私はあまり近づかないようにしている。 眼下には落差のある展望が一気に広がる。「石狩湾が綺麗だよ~」おばさんが歓声をあげた。暗い雲が漂う空の下では石狩湾のブルーが一層際立って見えていた。もちろん石狩平野も一望である。 |
岩壁の右側を回り込んでひと登り |
垂直に切れ落ちた岩壁の縁を通り |
眼下に落差のある展望を見て |
頂上直下の岩場 |
ミヤマガマズミの果実 |
まだ咲き残っていたモイワシャジン |
頂上へは更に右側を回り込むようにして進む。午前9時25分、銭函天狗岳の頂上に立った。登り始めてから1時間25分だった。ザックを下して冷たいスポーツドリンクを飲み干し軽食を頬張る。周辺の山々は低い雲の覆われていて見えない。「もう少し良い天気だと思ったんだけどね」「これから晴れて来るのかなぁ」。初めて登った山ならゆっくりと待機してその時を待つのだろうが、何度も登っている山なので~15分ほど休憩して下山を開始した。 もう一度岩壁の上に立ってその落差のある展望を満喫する。美しい石狩湾のブルーをもう一度目に焼き付けた。さて、下りの急斜面は登りよりも注意が必要だ。慎重にゆっくりゆっくり下って行く。この頃からどんどん登って来る人達が続いた。単独の男性、女性、グループの人達やトレランの方もロープを伝って一気に登って来る。「ありがとうございます」「気を付けて」「ゆっくりでいいですよ」いつも通りそんな言葉を交わしながらのすれ違いとなった。10時55分、登山口に下り立った。狭い駐車場はほぼ満車状態だった。 |
周辺は低い雲に覆われていた |
もう一度眼下に広がる展望を |
落差を感じる展望 |
石狩湾をちょっとズームで |
【山行後記】 今回の山行では2種類のトリカブトを見ることが出来た。前週の尻別岳では高山系のエゾノホソバトリカブトを見たが、ここでは低地や山地の林内で見られるエゾトリカブトとオクトリカブトである。葉の違いが見分けるポイントとなるようだ。最強の毒性を持つエゾトリカブトは3全裂して裂片も深裂する。オクトリカブトの葉は掌状で中裂する程度だ。オクトリカブトは北海道の西南部に分布しているようで、このあたりが北限になるのかもしれない。 |
エゾトリカブト |
オクトリカブト |
コースタイム(含休憩時間) 登山口 08:00 頂上 09:25-09:40 登山口 10:55 |
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