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2017年8月16日、私達はアポイ岳ビジターセンターの駐車場に到着。ちょうどお盆休や夏休みと重なって、隣接するキャンプ場には多くのテントが張られてバンガロー周辺も賑わいをみせていた。アポイ岳に向かう人は・・・あまり多くは無いようで、駐車場には数台の車があるだけだった。早速装備を整えて入山届けを記入して登山口へと向かって進んで行く、午前7時30分。

1合目の標識を見て「山頂まで3.8km、ゆっくり行こう」そう言いながらいつも通りのペースで今回の山行が始まった。5月上旬ころから咲き始めた花々は、もちろんもうその面影も無く~淡々と進んで行くことになる。この日の天気は晴れ、上空からの強い陽射しは木々に囲まれた登山道では木漏れ日となって降り注ぐ。今年のアポイ岳は3度目の訪問である。この山域に咲く花々に魅了されている私達は、毎年2~3回は訪れている。

「これってミヤマヤブタバコだよね」、この時期にはあちこちで良く見かけるキク科の植物だが~この山域で見るのは初めてだった。オオヤマサギソウはちょうど見頃、ハクサンシャクナゲがまだ少しだけ花をつけていて~イワツツジの果実を見つけて「秋近し」を感じてしまう。そんな雰囲気の中を1時間半ほどで5合目に飛び出した。

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ミヤマヤブタバコ

オオヤマサギソウ

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ハクサンシャクナゲ(別名:エゾシャクナゲ)

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イワツツジの果実

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5合目へ

樹林帯を抜けたせいもあるのかもしれないが、5合目には強い風は吹いていた。「馬の背からはもっと強まるのかしら」おばさんはちょっと心配そうに言う。もちろん登られないほどの強い風では無いのだが、咲く花々を楽しむ(撮影する)私達にとっては強風は手ごわい相手となってしまう。

上空に広がる青空からは容赦なく強い陽射しが照り付けていた。「暑くなるぞ~」そう自分に言い聞かせながら冷たいスポーツドリンクを飲み干す。汗を拭い馬の背に向かって岩尾根を上り始めた。「何が咲いているかしら」「咲いていればいいけど・・・まあゆっくり行こうね」急な岩尾根を一歩一歩登って行く。「わぁ~きれいだよ」おばさんが叫ぶ、振り返ると美しい光景が展開していた。眼下に広がる太平洋の水平線を隠すかのように雲が大きく広がり~そのまま上空の青空へと向かっていた。この山は海を見ながら登ることが出来るので、天気次第では様々な光景に目を奪われることになる。

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頂上(右)から馬の背へと続く稜線を見る

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馬の背へ向かって

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見事な光景が広がった

セリ科の植物はなかなか判別が難しいが、ホソバトウキは葉の裂片が線形であり蛇紋岩やかんらん岩地に生育するので比較的判断しやすい。ヒロハヘビノボラズは果実の状態、アポイハハコはまだあちこちで見られたがやや終盤、さすがにイブキジャコウソウはもうほとんど花は終わっていた。

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ホソバトウキ

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ヒロハヘビノボラズの果実

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アポイハハコ
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咲き残っていたイブキジャコウソウ

7合目付近で下りて来るお二人とすれ違った。「こんにちは、もう山頂まで行って来られたのですか」「えぇそうです、いい天気ですよね~とにかく綺麗だ」その言葉通りに様似町の海岸線が美しく広がっていた。「今日は特に綺麗ですね~」「素晴らしいですよ」、ちょっと気になっていた馬の背からの花模様についても教えて頂きお礼を言って別れた。

7合目への急な登りに堪えて馬の背が見えて来ると斜度が緩んで、咲く花々に囲まれながらの歩みとなった。落葉小低木のキンロバイは何度も見ているのだが、今回はとても綺麗に咲いていた。アポイ岳周辺でしか見られない蝶の『ヒメチャマダラセセリ』の幼虫の食草となっているようだ。ネジバナや~後述するチシマセンブリ、ウメバチソウなどとの出会いが嬉しい。サマニオトギリはほとんど終わっていたが、何とかまだ咲き残っていた花を見つけてカメラを向けた。

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眼下に広がる様似町の海岸線が美しい

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7合目へ向かって登る

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馬の背が見えて来た

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キンロバイ

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ネジバナ

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まだ咲き残っていたサマニオトギリ

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