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最終決定は前日の午後だった。連日不安定な空模様が続いていたが、昼の天気予報を確認すると翌日は曇り模様だが風は弱くて晴れ間もあるようだ。「とにかく行ってみよう」とすぐに準備を済ませて車を走らせた。もっと前に大雪山を訪れる予定は組んでいたが、天気が思わしくなくて延期していた。それだけに準備はほぼ整っている状態だったから動きは早い。

2017年7月24日午前5時30分、私達は赤岳の登山口となる銀泉台に到着。展望スポットからは雲海の奥に石狩連峰が浮かんでいた。

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銀泉台から雲海の奥に石狩連峰を見る

「えっ、静かだぞ」この時期の日曜日である、きっと駐車場は賑わっていると思っていたのだが~あちこちで出発準備をしている人の姿はあるものの、その閑散とした雰囲気に驚いた。私達は早速装備を整えて入山届けを記入、午前5時55分赤岳に向かって歩き始めた。

登山道脇では早速花々のお出迎えだ。エゾイチヤクソウはこの山域では初めて見た。花は上部にかたまってつくのが特徴のようだ。ハクサンチドリはこの時期の定番?、ウメバチソウはちょうど咲き始めたところだった。

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登山口の銀泉台

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エゾイチヤクソウ

ミヤマチドリ

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ハクサンチドリ

ウメバチソウ

高度が上がって来るにつれてガスが途切れて来たが、大きく展望が広がるような気配は無い。それでも風は弱いし陽射しも感じる上々の滑り出しだ。エゾウサギギクが咲き始めモミジカラマツは見頃を迎えていた。

やがて登山道は急斜面をトラバースするようになるのだが、最初の地点ではまだ雪渓が残っていた。第一花園では緊張を強いられる雪渓通過があるのだが、その長さはもう短くなってきていた。「ヤッホ~」後ろから声が聞こえた。振り返ると山友のyamazさんとakamさんが雪渓を登ってやってくる。「お久しぶりです」あいさつもそこそこにそのまま登りきって台地に出て小休止。

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視界が開けるのだが

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エゾウサギギク

モミジカラマツ

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チシマヒョウタンボク

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最初の雪渓

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第一花園の雪渓を行く

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振り返るとyamazさん達が登って来た

yamazさん達とは昨年平山に一緒に登って以来の対面である。汗を拭い水分補給をしながら久しぶりの会話が弾む、ここからは4名での山行となった。今回の行程は赤岳から小泉岳を経て小泉平周辺を歩くもので、距離にして約6km前後である。華やかな花のシーズンとは一線を画したこの日の山行では、どんな花々が展開するのか~そんな楽しみはあった。

灌木トンネルは雪解け水が流れ込んで、ほぼジャブジャブ漕いで歩くところもあるほどだった。「こりゃあ、結構凄いね」登山靴を濡らさずに歩くことは出来ない。灌木トンネルと抜けると第二花園、ここはまだ一面雪渓で覆われていた。雪面には水蒸気がたちこめてなかなか良い雰囲気である。上空には時々青空が見えるものの、ほぼ雲が漂っていて遠望はきかない。強い陽射しを受ける事が無いので体感的な気温の上昇はそれほどでも無い。時折吹く弱い風が心地よくもあった。

奥ノ平はほぼ夏道、平坦地に出ると程なくして「駒草平」の標識を見て、咲く花々を愛でながらさらに進んで「神ノ田圃」と呼ばれる凹地にある沼に到着だ。「あれっ」おばさんが指差す、登山道脇に咲いていたホソバノキソチドリ、ここでは初めての出会いである。写真を撮っているとふっとガスがたちこめて、手前のワタスゲとの調和をファインダー越しに見た。

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灌木トンネルを進んで

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第二花園の雪渓を行く
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奥ノ平

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神ノ田圃

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ホソバノキソチドリ

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ガスに煙る神ノ田圃に揺れるワタスゲ

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