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やがて急な登山道をひと登り、大きな岩の上に立つことになる。標高約1480mほどの地点で私達はここを展望台と呼んでいる。ここまでに楽しんで来た紅葉を俯瞰できる地点でもあるからだ。ちょっとした休憩ポイントでもあるがやはり狭いので長居は出来ない。私達は撮影を済ませてそのまま登り続けた。

ここから上部がこの山の後半のポイントとなる。小さな沢形に沿って進んだり越えたりしながら登って行くのだが、その沢周辺を埋め尽くす紅葉に包み込まれることになるのだ。上空はやや雲が多くて陽射しを遮ることもあったが、雲が途切れると~今が盛りの紅葉はもちろん一段と輝いて、やや終盤のものは濃い色合いで、そして真っ赤な果実がたわわに実ったナナカマド等、どれをとっても圧巻の彩りが広がった。

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展望台(標高約1480m付近)にて

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小さな沢形の紅葉に包まれながら

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真っ赤な果実が輝いていたナナカマ

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沢形を埋め尽くす紅葉は圧巻だ

やがて登山道は沢から離れて丈の低いハイマツトンネルの中に刻まれて行く。ゴゼンタチバナやシラタマノキ、コケモモの等の果実を見つけてカメラを向ける。頭上に青空を感じてハイマツトンネルを抜けると頂上はもう目の前だ。頂上からの崖斜面を覆う紅葉に目を奪われながら撮影していると先行していたおばさんの声が聞こえて来た。「富良野岳よ、富良野岳」、私は一気に登り切って三段山の頂上に立った。登り始めてから2時間20分だった。

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ゴゼンタチバナの果実

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シラタマノキの果実

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コケモモの果実

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どんどんハイマツの丈が低くなって

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頭上に青空を感じながら

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ハイマツ帯を抜けて

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頂上は目の前だ

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頂上からの崖斜面を埋める紅葉

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すぐに富良野岳に視線を移す、流れる雲に包まれてその頂きはなかなか姿を現さない。それどころかまたどんどん雲に包み込まれて行くようだ。頂上の前方に見える筈の山々も微妙にすっきりとは見えて来ない。十勝岳の山頂部は完全に雲の中だ。「きっと見えて来るさ」と希望的観測でじっと待ってみる。

十勝岳の山裾側を覆っていた雲が勢いよく上がってきていた。「もうすぐだぞ」私達は目を凝らしてその瞬間を待つ。「見えた~~っ」目の前には大砲岩、そして右に上ホロカメットク山と上富良野岳。それを繋ぐ稜線を辿って行く人達の姿が豆粒のように見えていて~その先に十勝岳がクッキリと姿を現した。やはりこの山のピークに立ったからには十勝岳は見たい。何度か登っている山だが、山野草が中心となっている私達の山行では「登る山」では無くて「見る山」へと変化しているのは確かだ。

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眼下に安政火口と奥に雲が流れる富良野岳

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頂上から見える筈の山々はまだ雲に覆われていた
画像クリックで幅1024ピクセルの画像(紅葉をズームで)表示

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大砲岩がクッキリと姿を現し

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左に上ホロカメットク山、右に上富良野岳

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左に十勝岳、右に大砲岩を見る

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