title

前日の夕方に十勝岳の登山口である望岳台に立ち寄った。ちょうど傾きかけた陽射しを浴びて十勝連峰が見事に輝いていた。富良野岳から目を転じて三段山方面を見る。「これは良さそうだな」そう呟きながらシャッターを押した。

1
前日の夕方に望岳台から見た三段山

翌2016年10月1日、私達は十勝連峰の三段山を目指した。3年前に夏山として初めて登ってその紅葉の美しさに惹かれ、以降は毎年訪れていた。「昼前まで曇り、のち晴れ」との予報通りの空模様で、山々の頂きはスッポリと雲に覆われていた。紅葉時期とは言え三段山には富良野岳や表大雪の山々ほどの賑わいは無い。白銀荘のキャンプ場とその前の駐車場は比較的閑散としていた。7時半頃からやっと登山者の動きが見られるようになってきた。

7時45分、私達も装備を整えて~キャンプ場を横切り法面の上を通って~三段山のサインを見て登山道に入って行く。どんよりとした曇り空の雰囲気は紅葉を楽しむにはどうにも意気が上がらない。笹刈りされた登山道は徐々に高度を上げて行く。「きっと晴れて来るから」そう言いながら何度も上空を見上げる。雲の流れは山腹に沿ってどんどん上がっているようで、時折陽射しも降り注ぐ。すっかり色づいている登山道脇の木々、そして前方を見ると雲が薄らいで紅葉が浮かび上がって見えてきた。「これだよこれっ」と言いながら私はシャッターを押した。

2
白銀荘のキャンプ場をスタート

3

4
陽射しが降り注ぎ

5

6
雲が薄れてきて紅葉が浮かび上がってきた

7
エゾオヤマノリンドウ

8
マイヅルソウの果実

9
ヤマクルマバナ

10
ツルリンドウの花と果実

一段目の登りはややぬかるんだところもあった。多少難儀しながらも登り切ってアカエゾマツの樹林帯に入って行く。「綺麗よ~」おばさんは叫びながら黄葉のトンネルを潜って行く。「あっ、何!」笹薮から飛び出した小鳥が目の前の枝にとまった。「ルリビ!!!」そう言いながらおばさんはカメラを構えたのだが、あっと言う間に飛び去った。

やがて二段目への登りが始まる。やや朽ちた部分もある急な階段、慎重に歩を進める。その上部にはロープも垂れ下がっていたが使用するほどでも無かった。階段を終えると丈の高いハイマツトンネルの中を進んで行く事になる。トンネルを抜けると一旦視界が広がるのだが、それまでは辛抱の歩みとなるのだ。途中でちょっと立ち止まって水分補給をする。額の汗を拭ってまた歩き出す。やっと前方に明るさを感じてハイマツトンネルを抜けると視界が一気に広がった、標高約1360m付近である。

11
笹が刈り払われた一段目の登り

12
アカエゾマツの樹林帯へ

13
黄葉のトンネル

14
二段目の登りは急な階段がある

15
ハイマツトンネルの中を

16
視界が広がって

山々の上部はまだ雲に覆われていたが、上空の雲の切れ間から降り注ぐ陽射しが周辺の彩りに輝きを与えていた。前十勝の山裾、フリコ沢方面とその手前の尾根、更に見上げる斜面を埋め尽くす見事な紅葉絵巻が展開された。「わぁ~っ」「これは凄いね」私達は圧倒されながら立ち尽くす。

「あれはダケカンバかな」紅葉に覆われた尾根上に木々が白く林立しているのだが見えた。上から流れ落ちるかのように広がる紅葉模様が素晴らしい。雲が無ければ山裾の奥に旭岳も見えるポイントだ。そんな光景を思う存分に味わいながら歩くことが出来るのが、この山の前半のポントでもある。

17
前十勝の山裾を彩る紅葉

18
フリコ沢手前の尾根上に白く見えるダケカンバ

19
フリコ沢手前の尾根に見事な紅葉を見た
画像クリックで幅1024ピクセルの画像表示

20

21
紅葉を横に見ながら登って行く

22
上部はまだ雲に覆われていたが前方の斜面に陽射しが降り注ぎ

23

登山ものがたりへ 次のページ HOME