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相次ぐ台風や熱帯低気圧が北海道にも凄まじい傷跡を残している。被災された方々に思いを寄せるものの、自然の猛威に恐れおののくとともに、自分の無力さを感じて山へ向かう気力も萎えかけていた。

山から遠ざかる事2週間、久しぶりにアポイ岳に登ることにした。今年の春に2度登っていて今回が3度目の訪問である。既に山の花々は終盤を迎えているが、この山ではまだヒダカミセバヤが見られ、最後にコハマギクで花シーズンの終わりを迎えることになる。

2016年9月11日午前7時ちょうど、入山ポストに届けを出して連絡路を進んで行く。やがて樹林帯に入ってほどなく1合目の標識を見る。前日までの強風もおさまり高曇りの下の静かな登山道、春にはエゾオオサクラソウが美しく輝いて迎えてくれるのだが、さすがに周辺に花の彩りは無い。それがかえってこの時期ならではの落ち着きを感じさせる。それでも咲き終わった花々の葉を見つけてあれやこれや、スローペースの私達を横目に後続の登山者が追い抜いて行く。

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【アポイ岳に咲く花々 その1】

ヤクシソウ(キク科)、その舌状花はハナニガナに似ているが、草丈はそれよりも低くポテっとした?葉が特徴的である。沢筋に咲いていた植物がとても美しく目に飛び込んできた。苦手な(判別が)セリ科の植物だったが沢の雰囲気にとても似合っていたのでカメラを向ける。帰宅してから図鑑で調べてのだがミヤマセンキュウとしておく。
ヒダカトリカブトがまだ綺麗に咲いていた。8月28日に尻別岳で見たエゾノホソバトリカブトの変種で、違いは雌しべがほとんど無毛とのこと。花弁の中をマクロレンズで覗けば確認出来るのだろうが~その産地からみて間違い無いだろう。細い線形の葉も美しいトリカブトである。


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ヤクシソウ

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ミヤマセンキュウ

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ヒダカトリカブト
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前日の土曜日はアポイ岳のキャンプ場に泊まった。天気の回復を待っていたかのように大勢の人達が利用されていて、バンガローもテントサイトも賑わっていた。ただ盛夏の頃のような喧騒は無く、静かにキャンプを楽しむ方々ばかりの静かな夜であった。季節が変わると人々の心模様もしっとりと変化するのかもしれない。

第1~第5休憩所と静かな登山道が続く。何度か沢形を越え高度を上げて~やがて樹林帯を抜けて5合目に飛び出す、8時25分。曇り空ながらも馬の背から頂上へと続く稜線が見えていた。

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登山道は徐々に高度を上げて

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5合目へ

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右端が目指す頂上

【アポイ岳に咲く花々 その2】

落葉低木のヒロハヘビノボラスの赤い果実があちこちで見られた。ハクサンシャジンやチャボヤマハギはほぼ終盤、まだ咲き残っていた一輪のミヤマアズマギクが愛おしい。ミヤマワレモコウはまだこれから楽しめそうだ。風に揺れるその花姿は秋特有の寂しさを感じさせる。


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ヒロハヘビノボラズの果実

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ハクサンシャジン

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チャボヤマハギ

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アポイアズマギク


ミヤマワレモコウ

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