2015年9月6日、私達は小樽市にある銭函天狗岳に登ることにした。登山口は札樽道の銭函ICを出てすぐに「大倉山学院・松泉学院」のサインを見て左折、高速道路の下を潜り抜けて細い道を進み突き当りのゲートの左の広場に数台のスペースがある。既に5台ほどの車がとまっていた。早速装備を整えてゲート前をスタート、8時05分。高曇り気味の空から柔らかい陽射しを受けながら進んで行くと、ほどなく「入山者の皆さまへ」の看板を見て砂防ダムの橋を渡る。

今回の行程は距離にして2km弱、標高差は約430mほどである。この数字から見ると小さな山ではあるが、天狗山と言うだけあって~急登と切れ落ちた岩壁が特徴の山でもある。

やがて前方に(登山口から10分程度)銭天山荘が見えて来る。ここは札幌山岳会のプライベート山荘である。登山道は山荘を後にして沢沿いを進んで行く。このあたりは春にはキクザキイチゲやエゾエンゴサク等が彩るところでもある。


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銭天山荘

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沢沿いの登山道行く

そんな林床に咲く花々も、さすがにこの時期になると数は少ない。普段はあまり注目しない花々も、愛おしく見えて来る。クサフジがあちこちに咲き、地味なケチヂミザサを見つけてしゃがみ込む。ヤブマメやツリバナの果実、そしてツルニンジン・・・咲く花々のひとつひとつが貴重な存在?となる。

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クサフジ

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ケチヂミザサ(イネ科)

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ヤブマメ

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ツリバナの果実

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ツルニンジン

やがて登山道は沢から離れるようにして、尾根に向かって急斜面を登って行く。「滑りそうね~」このところ降り続いた雨の影響で足元を見ると滑った跡が沢山見られた。「おはようございます」「ハイ、どうも」、「上は滑りますかね?」早くも下りて来た単独の男性に問いかけた。「登りはそうでも無いんだけど、下りは気をつけた方が良いですよ」「そうですか、どうもありがとうございます」。

急な斜面を登りきって尾根に出ると~ピシッ、、、「ナイスオン!」「ナイスショット」~そんな歓声が聞こえて来る。登山道の尾根の下はゴルフ場なのだ。何となく山登りの緊張感?が途切れそうになるのだが、やがてそんな心配はご無用とばかりの肩に向かって一直線の登りが始まる。「滑るよ~」「気をつけろ」そんな声掛けをしながら、慎重に登って行く。「そう言えば前週の尻別岳も急登だったよな」私は内心そう思いながら先行するおばさんを見上げた。
一段と斜度が増して来ると、たまらずに登山道脇に設置された固定ロープに身をゆだねることが多くなって来る。「こんにちは~、どうぞお先に」「いや~滑りますからね」単独の男性が私達を追い抜いて行く。そんな急登をやっとクリアすると、大小の岩石が転がる登山道を岩壁の基部に向かって緩やかに登って行くことになる。


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尾根に向かって急斜面を登る
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尾根に出ると一旦傾斜が緩んで

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いよいよ肩に向かって一直線の急登となる

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岩壁の基部に向かって進んで行く

「これマユミよね、あっ~カワミドリよ」~緩やかな登りでも辛い登りでもおばさんの目は登山道脇に見られる花々をとらえる。私はそんな言葉に誘導されながらカメラを構える。時には息を切らせながら、時にはしゃがみ込みながら・・・

「見えて来たぞ」~前方に岸壁が見えてきて展望が一気に広がった。「わぁ~」おばさんが叫びながら一旦立ち止まり、遠くを見つめる。しかしすぐに又歩を進めた、まだあの岩壁の上まで登らなければならない。目の前には垂直に切れ落ちた岩壁がせまっていた。


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マユミの果実

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ミヤマガマズミの果実

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カワミドリ

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ヤマハハコ

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前方に岩壁が見えてきて

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一気に視界が広がり


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目の前に垂直の岩壁が

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