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2014年8月21日早朝、私達は羊蹄山京極コースの登山口に立った。振り返ると流れる雲の奥に無意根山方面の山々が見えていた。「綺麗ね~」と感傷に浸る間も無く、目の前に立ちはだかる大きな羊蹄山に圧倒されるのだ。「あんな所まで登るんだね」今更ではあるが、そう再認識しながら高曇り無風の空を見上げて装備を整える。駐車場横の入山ポストに届け出を済ませた頃に、1台の車がやって来た。神奈川から来られたと言う単独の男性、初めて登ると言うのでこのコースの特徴などを紹介して私達が先にスタートした、午前5時50分。

天気予報は曇り時々晴れで風は弱そうである。「まあ、雨は降らないだろうし、かんかん照りよりも良いよね」そう言いながら畑の横の広い道路をまっすぐに進んで行く。その突き当りの樹林帯からが登山道となる。

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駐車地点からは流れる雲の奥に無意根山が見えていた

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前方に羊蹄山を見ながら畑の脇の広い道を進む

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ここからは樹林帯の登山道

樹林に囲まれた登山道はほどなく作業道を横切り、そのまま進んで行くとやっと「1合目」の標識を見ることになる。駐車場横の登山口から約1kmほどの地点だ。更にその先でまた作業道を横切って~しばらく進むと一旦少し下ってから尾根に向かって登って行く。「さあ、いよいよだな」私はそう口走りながらおばさんの後に続く。登山道が尾根に乗ったと感じると、その先に2合目の標識を見る。

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作業道を横切って

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やっと1合目標識を見る(登山口から約1km)

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尾根に向かって登り

さて、今回の登山道脇に咲く花々だが、さすがにこの時期になると色鮮やかな姿は見かけない。どちらかと言うと地味な草花がメインとなる。エゾフユノハナワラビとかエゾゴマナとか・・・そんな中でウドの花が少し色合いを感じさせていた。

「あっ、ツルニンジンよ~これはちょうど見頃だわっ」キキョウ科のつる性の多年草である。花は鐘形でその内側には紫褐色の斑が彩を添える。「あれっ、こっちに咲いているのは班が無いわよっ~」おばさんが叫ぶ。確かに花弁の内側の斑が無い。「これって白花じゃないの?」「うん、確かに今までこんなツルニンジンは見た事無いよね」(帰宅してからネットで検索してみると、情報は少ないもののシロバナツルニンジンとして紹介されているものもあった)。こうなるとザックを下してレンズを取り替え撮影タイムだ。「何か咲いているんですか?」後続の神奈川の男性が登って来た。「ちょっと珍しい花があったものですから」「そうなんですか~」とい言いながら男性は先行して行った。これだから私達の足取りは遅いのだ、、、と言い訳しておく。

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エゾフユノハナワラビ

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エゾゴマナ

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ウドの花

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ツルニンジン(キキョウ科)

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花弁の内側に紫褐色の斑が無いタイプ(シロバナツルニンジン?)

2合目から徐々に傾斜が増して来るのを感じながら登って行くと~やがて3合目の標識を見た。「無理せずにまず一服だよな」標識に書いてある言葉に納得しながらザックを下して水分補給。「次は5、7、9だな」私は2合目ごとに休憩を入れようと思った。「そうね、ゆっくり登りましょう」おばさんもそう言いながら腰を下す。

羊蹄山には今まで9回登っていた。比羅夫コースが3回、真狩コースが2回、京極コースが一番多く4回である。京極コースは火口壁の上の外輪山に向かって一直線の急な登りが続く。その登りが好きと言う訳では無いが、比羅夫や真狩コースのような賑わいは無く、とにかく静かな山行が楽しめる?のである。因みにこの日にこのコースで出会った人達は6名だけだった。

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徐々に傾斜が急になって来る

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ひたすら登り・・・

さて3合目から次の休憩ポイントの5合目を目指して歩き始めた。樹林に囲まれてあまり(ほとんど)視界は開けないものの、時折木々の間から見える山々で高度が上がって来ていることを知る。ひたすら登って4合目、そのまま休まずに登って行くのだが~傾斜がどんどん増して来てしかも滑りやすいえぐれた登山道となり(滑った跡があちこちに見られ)、更に地表に張出した木々の根に足をとられ・・・「まだか、まだか」の登りが続いた。この4合目から5合目の間が一番長く感じたところでもある。

やっと5合目の標識を見てザックを下し大休止、7時55分。「いやぁ~長かったなぁ」「やっぱりキツイわね」額の汗を拭いながら・・・「やっぱり1合目ごとに休憩しよう」「そうね」とすぐに方針転換だ。

平均斜度が30度前後の斜面を小さくジグを切りながら登って行く登山道は変わらずぬかるみ~滑り~ひたすら俯きながら登って行く。そして6合目の山頂標識を見た。『忍耐の一歩 努力の前進』とある、「う~~~ん、確かにそうだなこの登り、耐えて耐えての前進あるのみか」私はそう言いながらミネラルドリンクを飲み干した。

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時折木々の間から展望が開ける。右に雲がかかっている尻別岳、その奥に徳舜瞥山とホロホロ山

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傾斜がどんどん増して来て・・・

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滑りやすいえぐれた登山道

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