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左にオキシマップ山、中央奥に豊似岳、右が970.3mピーク

毎年恒例のえりも山岳会の春山行、今年も参加させていただくことにした。週間天気予報では山行前日までは晴れマーク、しかし山行当日は曇り時々雨となっていた。信頼度がCで 『確度がやや低い予報』となっていたから、「大丈夫、週間予報だから~まだきっと変わるって」私はそう言って日々天気予報を確認していた。その信頼度は当たっていた、山行当日が近づくにつれてどんどん良い方向に変わっていったのである。

2014年04月20日午前7時15分集合場所へ、「良い天気になりましたね~」「今日は絶好の登山日和ですね」久しぶりに会う方々と交わす言葉はもちろん明るい。追分峠から林道に入り間もなく施錠されたゲート、閉鎖されたえりも肉牛牧場への入り口である。ゲートを抜けて進んで行くとやがて視界が開けてオキシマップ山や豊似岳などが見えて来る。「最高だよ、これは!」私はそう言いながら車を止めて前方に広がる光景をカメラにおさめた。

午前8時ちょうどに登山口をスタート、総勢17名の山行の始まりだ。皆さん何度も登っている方々ばかりだから、とても心強い。作業道跡を尾根末端まだ賑やかに進んで行く。広い尾根に取付くといよいよ登りの始まりだ。冬場も歩くスキーなどで十分なトレーニングは積んできたつもりだが、、、やはり不安もある。私は呼吸を整えるようにゆっくりと歩を進めた。
標高530m付近で一旦視界が開けて前方にはこれから進む稜線と振り返ればえりも岬が見えて来る。もちろんこの日は視界良好である。「こりゃあ、最高の展望が楽しめるかも・・・」私はそう思いながら先行して行く人達の後を追った。

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入山ポストのある登山口

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作業道跡を進む

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広い尾根の登りから始まる

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標高530m付近で視界が開ける

登山口をスタートして約40分、目の前には653m標高点に向かって広い急斜面が立ちはだかる。「さあ、いよいよですね」「ここですよね」足を止めずにそのままゆっくりと斜面を登って行く。標高差100m、角度は約20度ほどの登りだが実際にはもっときつく感じる。特段登山道として決められた道は無いので獣道の跡を辿ったり、小さくジグを切ったりしながら各自が自分のペースで登って行く。すぐに息も絶え絶えとなり、額には汗が噴き出してくる。振り返ると眼下にえりも岬方面が見えて来るのがうれしい。

「いやぁ~やっぱりここはキツイね」急斜面を登り切ってここで大休止。アウターを脱いで汗を拭いながら水分補給である。ここからしばらくは段々と細くなって来る尾根を感じながらの比較的ゆったりとした登りが続く。春の陽射しを受けながら細いシラカバの木の間を進んで行く。

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653m標高点への急登

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えりも岬方面を背景に

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「このあたりから雪庇を歩けそうですね」標高約780m付近で尾根の東側に張出した雪庇の上に出た。一歩二歩と足を蹴りだしてみる。丁度良い具合に締まった雪は足が埋まる事も無く、ややキックを入れながら登る感じだ。稜線まで標高差残り220mほど、ほとんど直線的に辛い辛い登りの始まりである。「ゆっくり、ゆっくり」そう自分に言い聞かせながら先行ステップを追って行く。時々立ち止まり、振り返って見下ろす光景が美しい。

今回の山行の行程は、距離にして約4.5km標高差約770mである。登山口から稜線までの標高差は約670mだから、標高のほとんどは稜線までの登りで稼ぐことになる。

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尾根の東側の雪庇上を登る

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辛い登りだが~見下ろす光景は美しい

高度が上がるにつれて細い木々が行く手を阻むようになって来た。左へ右へと交わしながら進むのだが、そのちょっとした方向転換でさえも辛く感じて来る。「もう少しだよ~」そんな声に励まされるように木々の間を抜けて、真っ白な急斜面を慎重に登り切って稜線へ飛び出した。その先の50mほどに雪に埋もれた廃屋があった、10時15分。登り始めてから2時間15分だった。

稜線の東隣の970.3mピーク、そして百人浜からえりも岬へ続く海岸線がことのほか美しい。

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慎重に稜線上に飛び出す

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雪に埋もれた廃屋の屋根の上へ

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百人浜からえりも岬へと続く海岸線
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