title

早朝の未舗装の道を走っていた。前方になにやら動くものが、、、「何だあれっ?」良く見るとエゾライチョウのようである。静かに車をとめておばさんが助手席からそうっ~と出てカメラを構える。「こっち向いて~」そう言うのだが、何かを啄んでいるエゾライチョウは後姿を見せるだけ。仕方なくおばさんがシャッターを押すと、、、すぐに飛び去ってしまった。「う~~ん、残念!、おまけに暗いし~」「まあ、見られただけでもヨシだよ」そう言いながら車を先へ進めて行く。

1
エゾライチョウ(おばさん撮影)

2014年08月09日、私達は大雪高原温泉の登山者用駐車場に車をとめた。今回の行程は、ここ高原温泉から緑岳に登り、白雲岳避難小屋までのピストンである。距離にして約5.5km、緑岳までの標高差は約790m、前週の五色ケ原山行に比べると距離が約半分だから、時間的にもあまり急ぐ必要も無かった。狙いは3年ぶりのクモイリンドウである。今年の私達は花を求めての大雪山山行が続いていた。その締めくくりとも言える存在の花でもあった。

天候は時々薄日の射す曇り空、風は弱いから登山としては上々のコンディションと言える。のんびりと装備を整えて、森林パトロール高原事務所前をスタート、温泉の地熱帯を抜けてほどなく~緑岳登山口の標識を見る、06時30分。すぐに樹林帯に入り、しばらくはジグザグと急斜面の階段登りが続く。ここはまだ登り始め、しっかりと息を整えながらゆっくりと登って行く。

2
地熱帯を抜けて

3

4
急斜面の階段を登る

5
エゾスズラン

段々傾斜が緩んでひと登りで見晴台だ、ザックを下し水分補給。「天気はどうなのかしら」「それほど悪くはならないと思うけど、、、あまり照り付けるよりも良いんじゃないか」私は額の汗を拭いながら答えた。

「たまに先に行くよ」見晴台からは私が先頭に立って登って行く。私達の山行はおばさんが先を進み、私はカメラを持って後を追うと言うスタイルがほとんどである。山行模様の撮影のためでもあるし、おばさんが先行して咲く花々を見つけ、それを私が撮影する。私が撮影している間におばさんは更に先に進んでまた花々を見つける、そんなパターンである。見晴台から第一花畑まではあまり花々を期待出来そうにもなかったので、久々に自分のペースでゆっくりと先を進んでみた。しかしそれはわずか数分で逆転し~再びおばさんが先を進んで~ほどなく第一花畑に到着となった、07時20分。

目の前には緑岳が大きく聳え立ち、木道脇をチングルマの羽毛状の果穂が埋め尽くす。きっと花期にはチングルマの絨毯が広がっているのだろう。第二花畑に着く頃には緑岳方面に雲がかかって来た。「怪しい雲ね」見上げながらおばさんが言う。

6
見晴台へ

7

8
前方に緑岳を見て

9
緑岳方面にやや雲がかかって来た

10
チングルマの果穂

遅くまで雪渓の残る第一~第二花畑も、この時期にはすっかり雪が融けて~前週に五色ケ原で見た光景と同様にエゾコザクラの絨毯が広がった。小さな花のひとつひとつ、どれを見ても傷んでいるものは無い。つまりちょうど見頃の美しさなのである。「綺麗ね~」おばさんもザックからカメラを取り出し撮影タイムだ。私は接写せずにほぼ広角でエゾコザクラを狙う、おばさんは綺麗な個体と背景を選んでの撮影だ。

登りでは見つけられなかったエゾコザクラの白花、下りの時に2か所で見る事が出来た。これだけ咲いている中から見つけるのは至難の業とも言えるのだが、今回はどちらもおばさんが見つけた。木道からは遠く、望遠レンズでなければ撮影は出来ない。
セリ科の植物の同定は一番苦手なところだ。登山道脇に沢山咲いていたのはハクサンボウフウだろうか?ファインダーからとても綺麗に見えたのはその葉からシラネニンジンなのだろうか?ほとんど自信は無い。

11

12

13
エゾコザクラ(おばさん撮影)

14
エゾコザクラの白花も(ズーム&トリミング) 下山時撮影

15
ホソバノキソチドリ

16
シラネニンジン

17
ハクサンボウフウ

登山ものがたりへ 次のページ HOME