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2014年6月1日早朝、私達は上富良野町の国道沿い駐車場で目覚めた。十勝連峰の奥から朝日が昇って来た。今回目指す芦別岳も綺麗に見えている。すぐに装備を整え朝食を頬張り登山口のある富良野市山部自然公園を目指した、ここから約29kmの地点である。
富良野市内から上御料、山部と進むにしたがってグングンと芦別岳が近づいて来る。いつもの通り大きな山行の前は何故か無口になってしまう。心地良い緊張感と不安が脳裏を横切るからかもしれない。公園の駐車場に着くと既に準備をしている団体さん(12名ほど)の姿を見る。この時点ですっかりやる気モードに変貌する私達ではあった。

午前5時35分、鹿よけネットを開けていよいよ芦別岳に向かって一歩を踏み出した。すぐに団体さんと入れ替わり私達が先になって樹林に囲まれた尾根路を進んで行く。すぐの急斜面も事前にチェック済だから決して急ぎはしない。まだまだこれから長い道のりが待っているのだから・・・

617m標高点を過ぎると徐々に傾斜が増して来た。ふと見上げると「呻吟坂 序曲」の標識を見る。「う~~~ん、序曲とは泣かせるなぁ」と呟きつつ額の汗を拭いながら登って行く。

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入山ポストのある登山口

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徐々に傾斜が増して来て

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序曲はやがて本編となり、喘ぎながら呻吟坂を登りきって、やっと見晴台に到着した、07時05分。この地点で標高約850mである。地図上にも特に目立った記載は無いが、視界が開けて眼下の富良野盆地の奥に十勝連峰と大雪の山々が望まれる。
ザックを下してミネラル飲料を飲み干す。気温はグングン上がってきているようだ。こんな時にはこまめな水分補給が重要なポイントである。

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やっと見晴台へ

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見晴台からの展望

登山道脇を彩る花々は、ズダヤクシュがまさに花盛り~咲く始めたばかりのギンラン、サンカヨウを見つけてカメラを向ける。登りでは見つけられなかったノビネチドリは、下山時におばさんが見つけた。他ではオオタチツボスミレはほぼ終盤、数は少ないがミヤマスミレ等・・・

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ズダヤクシュ

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ギンラン

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下山時におばさんが見つけたノビネチドリ

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ミヤマスミレ

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サンカヨウ

さて、見晴台を過ぎる鴬谷に向かって距離にして600mの登りが始まる。苦しい登りとは裏腹にムラサキヤシオがとても綺麗に咲いていた。「わぁ~すごいわよ」おばさんが叫ぶ、視界が一部開けて木立越しに十勝連峰が浮かぶように見えていたのだ。この日の気象条件と相まって得られた展望と言えるだろう。

残雪を横切りひと登りで「鴬谷(標高約1110m)」に到着だ、08時05分。登山口をスタートしてから2時間30分だった。早速ザックを下して大休止、「予定時間よりも早かったんじゃない?」「うん、順調だね」。私はホッとしながら額の汗を拭った。今回の行程は距離にして約6.4km、標高差は約1,400mである。登山口からここまでは標高差にして約770m、距離にして約3.3kmだから全体の半分強の行程をこなした事になる。事前の検討段階からこの鴬谷までの単調な長い登りが一つ目のポイントだと考えていた。

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ムラサキヤシオが綺麗に咲いていた

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十勝連峰がとても美しく・・・
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鴬谷へ

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