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2013年4月14日早朝 私達はえりも町に向かっていた。今回はえりも町の人たちの豊似岳山行にご一緒させていただいた。追分峠から林道に入り間もなく施錠されたゲート、閉鎖されたえりも肉牛牧場への入り口である。登山口へ向かう途中でオキシマップ山や豊似岳などが見渡せる場所があるのだが、、、残念ながら上部は雲に覆われていた。【2004年4月撮影の画像はこちら
「風も強いし、天気予報もあまり良く無いし〜稜線までかな」私はそんな気持ちでいた。それでも久しぶりにご一緒する方々との会話も楽しみだったし、本格的な夏山シーズンの始まりとしての山行には十分だった。

装備を整えリーダーからの注意事項を聞いて、総勢14名午前8時ちょうど登山口をスタートした。スノーシューやワカンを持参する人もいたが、私達は登山靴を履いてつぼ足で登る事にした。登山靴には事前に防水スプレーをかけておくと結構効果がある。

平坦な作業道跡を尾根末端まで進んで行く。周辺には雪はほとんど残っていなかった。全道的にもそうであったが、この冬は雪が多かったが一気に雪解けが進んだようである。尾根末端から急斜面を登り始めると、久しぶりの出会いの会話も途切れがちになる。私も自分の体力を確認するように、ゆっくりと息を整えながら歩を進めた。やっと斜度が緩むと一時視界が開ける場所にでる。やはり上部は雲で覆われていた。「どうやら展望は望めないようですね」「風も強そうだ」「まあ、あまり無理しないで」

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目指す山々は雲に覆われていた(登山口付近から撮影)

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標高530m付近で一旦視界が開ける

やがて653m標高点に向かう大斜面が目の前にあらわれた。「ここよね〜」「ここはきついよね」小さくジグを切りながら少しずつ高度を上げて行く。足下には小さな石(岩)が隠れているから注意も必要だ(特に下りでは)。斜面の途中で一息入れて振り返ると、えりも岬周辺の広大な光景が広がる。天気が良ければブルーの海と百人浜の海岸線、手前には牧場跡?が点在し、、、奥にえりも岬の突端が見える筈だ。

急斜面を登りきって小休止、汗を拭って水分補給ミネラル補給。「今年は○○岳に登りたいね」「あそこは良い山ですよね〜」「△△岳との縦走も是非計画して欲しいな〜」、夏山シーズン始まりの会話はいつも楽しい。

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653m地点への急登

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眼下にえりも岬方面を見て

「そろそろ行きましょうか」そんな声を合図にザックを担ぎ上げる。なだらかな登山道は長くは続かない。木々に囲まれた展望の無い尾根歩きは、次第に傾斜がきつくなって来る。「このあたりから出ましょうか?」標高約750m付近から尾根の東側に張り出した雪庇の上に出た。「埋まりませんね」「これなら快適だよ」このところの気温の上昇がつぼ足登山にピッタリの雪面状況になっていたのである。

今回の行程は標高差約770m、距離にして約4.5kmである。登山口から稜線までの標高差は約670mだから、標高差の大半は稜線までの登りで稼ぐことになる。

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標高750m付近から尾根の東側に張り出した雪庇上に出た

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フーッと目の前が明るくなった。上空の雲が勢いよく流れ青空がどんどん広がり始めた。「ほらほら・・・晴れて来たよ〜」「こりゃあ凄いね」「あっ、オキシマップが見えている」「ここから良く見えるよ!」、突然の青空に私達は興奮気味だった。「誰か日ごろの精進の良い人がいるんだね、きっと」「それって、、、誰?」そんな軽やかな冗談も出始めた。

稜線が近づくにつれて益々斜度がきつくなり、俯き加減に時々雪面にキックを入れながら登って行く。振り返ると眼下に広がる百人浜からえりも岬へと続く海岸線が美しい。

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青空が広がり・・・

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オキシマップ山

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延々と急斜面が続く

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眼下に百人浜からえりも岬へと続く海岸線が広がる

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