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布敷ノ滝を過ぎるとコースは沢から離れて、足元に岩が露出する林間の登山道は徐々に傾斜が増して来る。セミの鳴き声は一段と大きくなり夏山モード本番を感じさせるのに十分だった。「あっ、コミヤマカタバミよっ・・・コキンバイが凄いわ」「あぁ〜良いね」早速ザックを下して撮影タイムだ。ちょうど見頃の二種類の花が綺麗に咲いている。「こっちから・・・あれかな・・・」「こっちの方が」といつも通りのモデルさん選び。

登るにつれて足元から水の流れる音が聞こえて来る、伏流水である。もちろん水の流れは見えないものの気分的には涼しさを感じさせてくれる。上部で水の湧き出している個所があった。とても冷たい水だったが「飲まれません」と書いてある。飲料を冷やすのには良さそうだ。
「あぁ〜良い風〜」ひんやりとした風を感じた先には少しだけだが残雪があった。

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伏流水の音を聞きながら登る

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コミヤマカタバミ

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コキンバイ

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少しだけ残雪があった

さて、いよいよ目の前に岩れきの大斜面が現れた、10時ちょうど。ここからは標高差にして約150mほどの急な登りでもある。おまけに強い陽射しを受けているから〜おおよそ想像はつく〜暑いのだっ。「気をつけろよ〜浮き石もあるから〜」私の言葉に頷きながらおばさんはゆっくりと登って行く。目印は岩に塗られたペンキである。進む方向を確認しながら次の一歩を決めて慎重に岩の上を登って行く。
滴り落ちる汗を拭いながらも・・・岩の間に咲くエゾキケマンを見つけてカメラを向ける〜これがなかなかキツイ。ザックを下して「ふぅ〜」と一息ついてからおもむろにカメラを向ける。

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岩れきの大斜面

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ムラサキヤシオを横に見ながら

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エゾキケマン

約40分弱で岩れきの急斜面を登り切ると〜ダケカンバに囲まれた台地に出る。残雪が少しだけあってちょっとぬかるんでいたところもあったが、見上げる青空と新緑に囲まれた登山道に「気持ち良いわね〜」とおばさんが微笑む。

さて、大きなケルンの立つコブまではもうひと登り〜おばさんが小さなスミレを見つけた。「アイヌタチツボかしら?」良く見ると側花弁の内側に白い毛があり唇弁の距は白い〜「アイヌタチツボスミレのようだね」。そう確認すると撮らないわけにはいかない。汗を拭いながらザックを下してカメラを構える。シャッターを押してふと見上げると下山者が立っていた。「あぁ〜すみません」「いえいえ、どうぞゆっくり」、平日ではあったが登って来る人、降りて来る人・・・次から次へとすれ違う。

視界がグンと開けて〜振り返ると札幌市街が眼下に広がる。10時50分、私達は大きなケルンの立つコブ上に立った(標高980m)。登り始めてから3時間25分だった。

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ダケカンバに囲まれた台地に出る
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アイヌタチツボスミレ

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振り返ると眼下に札幌市街が

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