塩谷丸山にはいつも晩秋の佇まいを感じる時期に登っていた。澄み切った空の下にブルーの日本海を見下ろしながら、山頂でゆったりと過ごすパターンである。「この山のお花はどうかしら?」「そう言えば花の時期には登っていなかったよね」、早速ネットで情報検索〜なかなか楽しめそうである。
2012年7月11日、私達は塩谷丸山の登山口(入山届のポストがある地点)に立って驚いた。付近一帯が荒く伐採されて登山道には大木が何本も横たわっている。「えっと〜あっちだな」林の奥に登山道を見つけた。そして更に少し進むと、なぎ倒された木々で登山道は完全に塞がれていたのである。「どっちへ行くの?」、左側から木々を乗り越えてやっといつもの登山道に戻った。早々に木々は撤去されるのだろうが、初めて来た登山者は戸惑うに違いない。

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登山口の状況 2012年7月11日現在

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下山時撮影:奥に入山ポストが見える、登山道は完全に伐採された大木で塞がれていた

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登り始めて間もなく、なぎ倒された木々で登山道は完全に塞がれていた

さて、この日の天気はもちろん「晴れ」、子漏れの木漏れ日を感じながら静かな登山道を登って行く。目立った花はあまり無いものの、緑の林内にオレンジ色の花を咲かせるクルマユリが際立って輝く。標高300mを越える頃から斜度は増して来て、やがて登山道はジグを切りながら進んで行く。この山で最もきつい登りの部分だが、ゆっくりと登って行けばあまり苦は無い。

急な斜面を登りきると一面が笹に覆われた台地に出る。夏の強い日差しが一気に照りつけた。まめに水分補給しながら進んで行く、足元にはウツボグサが延々と咲いていた。「これはまるで、ウツボグサロードだね〜」、ちょっとビックリしながら滴る汗を拭う。やがて前方に山頂部が見えて来る、山頂と言うよりも小高い丘と言った優しい印象である。

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クルマユリ

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ジグを切りながら登って行く

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ウツボグサ

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前方に山頂部が見えて来る

最後はもうひと登り、一気に視界が開けて塩谷丸山の山頂に立った、10時15分。ガイドブックの標準コースタイム(休憩含まず)は1時間40分となっている。山頂には途中で私達を追い抜いたご夫婦が寛いていた。初めてこの山に来られたそうで、やはり登山口付近では戸惑ったとの事。「このすぐ奥の岩場の方が見晴しも良いし、そちらで休憩される方が多いですよ」「そうですか、知りませんでした〜そっちへ行ってみます」
私達も山頂の写真を撮り終えてから、奥の岩場に進んだ。錨と祠と質素な山頂標識が変わらぬ姿で待っていた。

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羊蹄山やニセコ方面の展望はあまり望めなかったが、余市町市街とブルーの海岸線、奥には積丹岳と余別岳が見えていた。そんな光景を目にしながら軽食を頬張りコーヒーを飲む。それにしても暑かった、照りつける日差しで後頭部が暑くなるほどだ。私はタオルを頭に巻いてその上から帽子をかぶり・・・「なんてスタイルだ〜」と自嘲気味に笑っていた。

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余市町の海岸線と遠く積丹岳と余別岳

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毛無山と右後方に大黒山

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遠藤山から於古発山へと続く山並み、奥に余市岳が見える

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