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前週は登山口まで行って〜どんよりとした曇り空、おまけに雨もポツポツと降りだし〜あっさりと中止した。別にどうしても山頂を極めたいわけでは無い。青空と白い山々を見ながら歩きたかったから、ためらいは無かった。

週末に向けて天気予報を見る日々が続いた、雨模様の不安定な天気が続いていた。しかし土曜日は何とか晴れマークが見える。「決定だね」この時期になると私達の登れる山は限られて来る。そしてこの時期だからこその期待もあった。金曜日の夜、雨と強風の高速道路を走り抜けそのまま道の駅で車中泊、深夜には車体が揺れるほどの強風に包まれた。翌朝ウトウトしながら目覚めた、まだ風は強いものの天気は回復の兆しである。

2010年11月13日、私達はアポイ岳から連なるピンネシリの登山口に立った。既に今回ご一緒する、えりものkusaさん、komaさん、そして札幌のhirokoさんは到着していた。「おはよーございます」「すごい風ですね〜〜」「でも樹林帯に入ると大丈夫でしょう〜」風は強かったが中止するほどでも無いし、これから段々回復して来るだろう。

「じゃあ、出発しましょうか〜」午前7時40分、樹林帯に入るとすぐに風は弱くなった。大きくジグを切った登山道を淡々と進んで行く。「あっ、これ綺麗よ〜〜〜ほら、こっちにも」おばさんが苔むした倒木を見て叫んだ。「わ〜〜ほんと綺麗ですね!!」早速撮影タイムだ、さすがにこの時期になると咲いているお花は無い。普段なら「綺麗だね」と通り過ぎてしまうかもしれない倒木を覆った苔に、過ぎゆく晩秋を惜しむかのような愛着を感じる。

登り始め

日差しを受けて輝く細いダケカンバ林の中を進んで行く。やがて斜度が緩み広い平坦な尾根に出る。この山は登る人が少ないせいもあるのだろう、この付近の登山道には背の低い笹が被っていてやや不鮮明になりつつあった。「一昨年登った時にはこんなんじゃ無かったよなぁ」、方向を定めて登山道を確認しながら登って行く。
やがて稜線に向かって鋭角にジグを切りながら進む登山道になる。しかしこの付近も獣道があちこちから入り込み、そのまま真っすぐに進んで行きそうになるから注意が必要だ。

ダケカンバが美しい
ダケカンバが美しい

ハイマツも・・・

高度が上がるにつれて木々の間から待望の山々が見えて来る。「見えてるわね〜〜〜」「十勝岳にちょっと雲がかかってる・・・」「いや〜もう少しであの雲は消えるよ、今日は間違い無く大展望だと思うよ」「もう少し登るとすっきりと見えるから・・・」そんな言葉に私達のペースは少しあがって〜そして一気に展望が広がった。
青空の下に日高山脈の稜線がそのピークに雪を抱いて連なる。「十勝岳の雲も無くなったよ」「楽古岳が一段と目立つわね〜」そんな私達の声に「すごいすごい〜〜〜感激です」この山に登るのは初めてのhirokoさんが興奮して叫んだ。

強い西風を受けながら北斜面を横切るようにして登ってゆく。気温はそれほど低くは無いから寒さは感じない。

早く見たい

展望1

展望2

北斜面を・・・

835mコブを回り込むようにして稜線に飛び出す。ピタッと風が止んだ、と言うか登山道は稜線直下の南斜面から東斜面へと弧を描くように進むから、強い西風は稜線で完全に遮られるのだ。かわって晩秋の日差しが一面に照りつけ〜小春日和そのものになったのである。「気持ちが良いね〜〜〜」これならここで本でも読みながら昼寝出来そうだね」「そうね、クマさんに起こされなければね!!」大笑いだったが、、、確かに途中の登山道では熊の糞が見られたので、それなりの注意は必要である。

しばらくはピンネシリの山頂部を見ながら平坦な登山道が続く。眼下の幌満ダム湖を見て〜その奥にえりも方面へと続く山々のシルエットが美しい。
途中で稜線上に向かう踏み跡がある、小さな祠があってそこに向かうものだが注意していないと通り過ぎてしまう。祠を横目に稜線上に出る、一気に強風が襲いかかる。しかしそれ以上に広がる展望に思わず歓声をあげてしまう。日高山脈を見ながら山座同定、眼下の様似海岸線とブルーの太平洋、そして水平線上に流れる雲が美しい。

山頂部を見ながら
ピンネシリの山頂部を見ながら

幌満ダム湖と日高の山々
眼下に幌満ダム湖と、その奥にえりも方面へと続く山々のシルエット

日高山脈だっ
右からトヨニ岳、ピリカヌプリ、神威岳、1839峰へと続く山々をズーム

様似海岸
様似海岸

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