台風から変わった温帯低気圧は、北海道の東方へと去りつつあった。気になる天気予報は「晴れ」、金曜日の帰宅後にすぐに出発した。道央高速道はまだ所々で路面が濡れている。上川町が近くなると濃霧、、、21時過ぎに層雲峡温泉公共駐車場に着いた。 さすがにこの時期、「夏休みも終わったし〜かと言って紅葉にはまだ早い」、ほぼ貸切状態の駐車場で眠りについた。深夜寝苦しくて目覚めると霧雨が降っていた。「明日は本当に晴れるのかな〜」ちょっと不安になりながら寝返りをうつ、、、なかなか眠れない夜になった。 ウトウトしていると〜おばさんの起きる気配を感じた。「どう〜まだ降っているかい?」「今は降っていないけど・・・霧がかかっているよ」 まあ急ぐ必要は無い、きっと晴れて来るに違い無いから〜そんな希望的観測を抱きながらゆっくりと装備をととのえ、ロープウェイの駐車場に車を移動した。頭上を始発のロープウェイが出発して行った。 何となく青空を感じ始めていた、まだ山頂方面は見えないものの確実にガスは上がってきている。6時30分のロープウェイに乗り込んだ、10数名程度しか乗っていない静かなスタートになった。そんな静けさが破られたのは〜高度が上がって眼下に雲海が広がり山々がクッキリとしたシルエットを見せた時だった。「わぁ〜〜〜綺麗〜〜〜」「こりゃあ〜すごいねぇ」久々に広がる光景を目にした私も「おぉ〜〜〜」と叫びながらカメラを構えた。ガラスの反射光がちょっと入ったが、そんなことは気にならない美しさである。 |
ロープウェイから・・・雲海とニセイカウシュッペ山、平山、屏風岳 |
5合目からはリフトに乗り継いで7合目を目指した、もう山頂は見えている。「大丈夫だな、、、今日は晴れるぞ」私は確信した。日差しを感じながらリフトを下りる、そのまま入山届をすませて、、、「さあ、スタートだぞっ」 2010年9月4日7時15分、私達は黒岳に向かって登り始めた、ゆっくりと久々の感触を味わうかのように・・・ 登山道には前夜までの雨の影響はあまり無かった。階段がちょっと多いことを除けばほぼ快適である。高度が上がるにつれて素晴らしい展望が広がって来た。「これだよ〜これだ、これだ」私は妙なくらい自分に納得しながら登っていた。上空の青空と広がる展望がそうさせたのだろう。ニセイカウシュッペ山から平山へと続く山々が殊更美しい。 |
7合目登山口 |
ニセイカウシュッペ山〜平山 |
登山道脇にはダイセツトリカブトやウメバチソウ等の秋を感じる花々が咲き〜やがて前方にちょっとだけ秋の気配を感じるマネキ岩が見えて来ると、もう最高潮だった。 「そう言えば〜せっちゃんさん達は2週間前に登ったんだよね」「北鎮岳まで行ったのよ〜」、「そうそう、あいにくの天気だったようで残念だったね。でもその分、自分達がしっかりと展望をゲットしているから〜・・・」何か申し訳無いような気持ちもあったが、こればっかりはどうしようも無い。せっちゃんさん達の分までたっぷりと黒岳周辺を楽しむことにした。 |
ダイセツトリカブト |
ウメバチソウ |
マネキ岩を見て |
今回の行程は黒岳から黒岳石室へ、そして美ヶ原を下り北海沢周辺までの予定だった。ただ特段何処までと決めて歩くわけでは無いので、その時々の光景に合わせて〜流れにまかせて進んで行く。 紅葉はまだ先だろうが、その始まりの雰囲気だけでも感じたかったし、、、おばさんは黒岳のエゾシマリスも見たいと思っていた。「あっ、シマちゃん!!」登山道で何度かその姿を見たものの・・・すぐに走り去ってしまい、、、なかなかカメラにおさまってくれそうにもなかった。「やっぱり無理かしらね〜」ちょっと残念そうにおばさんが言う。 |
登山ものがたりへ | 次のページ | HOME |