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天気予報は良かった、前夜仕事が終わってから出発して途中で車中泊。2008年9月20日、私達はユニ石狩岳に向かっていた。登山口へ向かう林道入口にはゲートがあるので事前に鍵ナンバーの確認が必要だ。午前6時40分登山口を出発、先行者はいないようだ。途中二つの丸木橋を渡って進んで行く。登山道が段々苔むしてくるとまもなく鳴兎園に到着だ(登山口から約30分)
「いないかしら・・・」耳をすます・・・もちろんナキウサギの声を聞くためである。今回の登山の狙いは、ひとつはユニ石狩岳からの展望であり〜もうひとつはナキウサギとの出会いであった。今日のおばさんは300mmのレンズをつけたカメラを首からぶら下げていた。

ナキウサギの声は聞こえなかった。「まだまだこれからだよっ、、、会えるかもしれないさ」そう言いながらおばさんに先へ進むように促す。「色づいているわっ」おばさんの声を聞くまでもなく私も気づいていた。前週の沼ノ原では全く見られなかった紅葉〜それが登山道周辺に見られ始めた。今年の高山での紅葉はもうあきらめかけていただけに、ちょっと驚きがあったし思いがけない幸運が舞い込んだ気分にもなった。
「わぁ〜〜〜」振り返りながらおばさんが叫ぶ。ニセイカウシュッペ山がクッキリと見えていた。

鳴兎園
鳴兎園

彩りを感じながら

大崩れ

北大雪
ニセイカウシュッペ山方面

大崩れ〜小崩れ〜そしてブヨ沢出合が近づくにつれて見事な色どりが広がってきた。1725mピークの東斜面の黄葉に朝の日差しが降りそそぎまるで金色の輝きを見せていた。「これは綺麗だぁ〜〜〜」「すごい〜〜〜綺麗よね」私達は叫びながらシャッターを押していた、予期せぬ輝きに感謝しつつ・・・

「ピチッ、、、、ピチッ」時折ナキウサギの声が聞こえ始めた。そのたびに立ち止まり周囲を見回す。そして再び歩きだす、こんな調子だからナキウサギの写真はなかなか撮れないのだろう。「これぞっ」と言うような場所にじっくりと構えて待つ、そんな努力が必要なのかもしれない。あいにく私達にはそれほど時間的な余裕の持ち合わせは無い、だからもし運良く出会ったら、、、程度の努力?しか出来ない。
「いたっ、、、」「えっ、何処?」「ほらあそこに・・・岩の上に」それは沢の対岸のガレ場だった、あまりに遠すぎる。しかしなぜか私の肉眼では確認出来るのだ、、、「遠視だから」と、あえて言っておこう。

小崩れ
小崩れ

黄葉1

黄葉2

ブヨ沢出合を過ぎると沢地形を抜けて十石峠へ向けて登って行く。日差しをいっぱいに受けながら気持ちの良い登りだ。「これは当たったなぁ」私はそう感じていた。今回はぎりぎりまで登る山が決まらなかった。紅葉は期待出来そうにもなかったし、土曜日しか予定がとれなかったし、、、ただユニ石狩岳にはしばらく登っていなかったので今年は機会があったらと狙っていた山ではあった。それがこんな天気に恵まれてしかも紅葉まで手中にできるとは・・・「きっと十石峠からの展望は凄いぞっ」私の言葉におばさんも頷いた。

飛び出す

黄葉を背景にして
朝の日差しをいっぱいうけながら登る

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