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また週末の天気は回復しそうになかった。それでもどちらかと言うと日曜日の方が幾分天気が良さそうだ。「先週のあのモンスターと粉雪は素晴らしかったよね」「そうね、もう一度大滝がどうかしら」「うん、そう言えば徳舜瞥山の上野ルートはしばらく行って無いね」。
旧大滝村の市有牧野から西尾根を行く徳舜瞥山に登ったのはもう5年前になる。青空が広がる山頂に立った、素晴らしい展望だった。今回はそれを望めそうにも無い。山頂には立てないだろうが、あのなだらかな尾根と樹氷、そしてパフパフの粉雪は楽しめるに違いない〜そんな読みだった。

2008年2月17日午前8時少し前、私達はスタート地点になる除雪最終地点に着いた。白い大きな犬が横たわっていた、小さな茶色の犬が車に近づいて来る、、、そして脱兎のごとく現れた黒い大型犬。なんと車の窓に飛びついて来る。「怖いっ」おばさんが叫んだ。確かに凄い迫力だ、牧場の飼い犬なのか5年前に来た時にも2匹いたような気がする。恐る恐るドアを開ける、すぐに飛びついて来る、ちょっと唸り声さえあげる。「うるさいぞっ」そう言いながらちょっと間をおいてから手際よく準備をしてスタートだ。8時15分。ちょうど単独の男性が来た「大丈夫、噛みはしないよっ」「それじゃ一足先に・・・」

一番元気の良い(怖い)黒い大型犬が着いて来る。「えっ、一緒に登るのかい?」、おばさんの後ろに続きながら、時々振り返って私を見る。どうやら今回のレポートはこの犬が主役となりそうである。

スタートは
スタートです

あれっ、ついてくるぞ
ちょっと行ってみよっかな(クロちゃん)

林を抜けると広い牧場に出る。大型犬は相変わらず一緒だった。「どうしよう、名前をつけなきゃね」「そうね、ワンちゃんと呼ぶわけにもいかないしね」「えっと・・・黒いからkuroちんはまずいから〜〜〜クロちゃんにしよう」「そうね!さ、クロちゃん行くよ」私達は気軽にそう名前をつけた。いつのものだろうか、うっすらとスキーのトレースが残っていた。

すぐに戻るんだろう、、、と思っていたのだが、そんな見通しは甘かった。クロちゃんは元気いっぱい、時々深い新雪の中に入って、まるで雪の中を泳ぐかのように進んで行く。顔を雪の中に突っ込んで真っ白になりながら〜〜〜でもさすがにすぐに戻って来て私達のトレースに乗る。「わっ、重いよっ」クロちゃんはおばさんの後に続きながら時々スキーのテールに乗るのだ。いやっ、乗ると言うよりも乗ってしまうのだろう。何せ大型犬とあって結構重い。「こらっ、もっと下がりなさい!!!」そう言ってもわかる筈は無いのだが。

時々おばさんの横を通り抜けて先頭ラッセルもする。疲れて来ると?おばさんの前に座り込んで行く手を阻む。「どいてよっ、クロちゃん〜どいてって」知らん顔でおばさんの顔を見上げる。なにやら珍道中になる予感だった。

牧場に出ても・・・
どうしよう、、、(クロちゃん)

まだ着いてくるのです
もう〜ついていっちゃえ(クロちゃん)

見事な光景が広がり始める

間もなく単独の男性も追いついて来た。「いやぁ〜〜ラッセルどうもありがとうございました。かわりますよっ」そう言って先に進んで行く。軽い粉雪だった、間違いなくパフパフの雪が楽しめそうだった。このルートは1050m台地までは林道や作業道等を横切りながら、なだらかな広い斜面が続く。結構赤いリボンもぶら下がっているが、視界不良時にはそれなりの注意は必要だろう。

高度が上がるにつれて樹氷が輝き始めた。先行する男性が立ち止まり写真を撮っていた。「いやぁ〜〜〜綺麗ですねぇ」もちろん私もカメラを取り出して撮影に余念が無かった。おばさんもあたりを見回しながら「わぁ〜〜〜綺麗よぅ〜〜〜」そう叫びながら満足そうに登って行く。小雪まじりの曇り空、時々うっすらと日差しを感じる、風はほとんど無い。

「クロちゃん、まだ行くの?」おばさんは雪で真っ白になったクロちゃんの頭を撫でる。もうすっかり今回の山行メンバーになってしまった。

なかなか〜〜〜
見事な光景が広がり始めた

まばゆく輝く

えっ、まだ〜〜〜
もう最後までつきあうかぁ(クロちゃん)

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