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沼ノ原には何度か訪れていたが、沼ノ原分岐から南は未踏だった。以前知人から聞いていた沼ノ原山が気になっていた。登るルートは二つある、ひとつはクチャンベツ登山口から沼ノ原を経て向かうコース、もうひとつはヌプントムラウシ温泉からのコースである。私達は前者のコースを選んだ。時期的に沼ノ原周辺の紅葉も楽しめるかもしれないと言う期待と、分岐から縦走路分岐(石狩岳)への登山道を一度見ておきたかったからである。

2008年9月13日、3連休の初日だった。他の予定もあって山へ向かうスケジュールとしてはこの日しかなかった。天気予報はまずまずである。林道のゲートナンバーは事前に確認してあった、順調に登山口に到着する。午前6時55分、当初の予定よりも30分ほど早い登山口出発であった。さすがに登山道にはもうお花は見られない、「じゃあ果実シリーズね」おばさんはそう言いながらゴゼンタチバナの果実にカメラを向ける。
このコースには歩き出して間もなく二度の渡渉がある。どちらも丸木橋が組んである。最初の橋は濡れていて滑りそうだったがそれほど高さも無いので慎重に渡った。問題は二つめの橋である、結構高さがあるし見るからに不安定な感じだ。私達は迷うことなく少し上流を歩いて渡った、登山靴にスパッツをつけていれば靴の中に水が入るほどでも無い。

スタート

ゴゼタチ
ゴゼンタチバナの果実

尾根に取りつくと登山道は一変する。大小の岩をさばきながら急な斜面を登って行くことになる。以前縦走装備で登った時にはちょっと悲鳴をあげた。しかし今回は日帰り装備である、一歩一歩慎重にゆっくりと登って行くペースだからそれほど辛くは無い。間もなく先行していた3名の縦走グループに追いついた。

やっと急斜面を登りきり沼ノ原2kmの標識を見てほっと一息。ここからまだ少し登りがあるがもうそれほどきつくは無い。やがて沼ノ原0.8kmの標識を見て木道歩きとなる。登山口から約1時間、「ちょっと休もうか」私達はほとんど休憩していなかった事に気づいてザックを下ろした。

登り

木道

上空には雲が浮かんでいるものの風も無く絶好の登山日和だった。「いよいよね、紅葉はどうなのかしら」「うん、ちょっと・・・どうなんだろうね」どうひいき目に見ても周囲にはあの秋の輝きは見られない。カランコロン・・・縦走グループの方々が登って来るのを見て私達も出発した。

沼ノ原湿原を進む、視界がぐんと広がる〜「わぁ〜〜〜」そんな歓声があがるところだ。トムラウシ山へと続く稜線を雲が包み込んでいた。石狩連峰は逆光ではあるもののクッキリである。私は足を止めながら何度かシャッターを押した。

湿原

トムラ方面
沼の彼方のトムラウシ山方面は雲に包まれ

石狩連峰
石狩連峰

8時20分、沼ノ原分岐に到着した。二人の男性が休んでいた「これからどちらまでですか?」「今日はここまでですよ、トムラウシの写真を撮りたくてね、三脚も担いで来たんだけど見えていなくて」「もう少ししたら見えて来るんじゃないですか?」
私達が沼ノ原山へ行くことを告げると「この路を歩いている人がいるのかね〜と今話していたんですよ」。確かに縦走路分岐へと向かう登山道はすっかり笹が被っていて見えない。

予想はしていたもののやはりちょっと憂鬱になりながら笹をかき分けて行く。時折背丈まで隠れるようなところもあるが、踏み跡はしっかりしているので見失うことが無ければ大丈夫だろう。ただ雨の日には濡れるだろうしガスの濃い時には不安になるだろう。約40分弱で縦走路分岐に出てほっとする。古びた標識があった、ヌプントムラウシ方面へと向かうのだが一面が湿地帯のようで登山道ははっきりしない。方向を定めて進むとすぐに登山道を見つけることが出来た。

分岐
沼ノ原分岐へ

笹
笹が被る登山道

縦走路分岐
縦走路分岐

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