カムエク山頂を離れると同時に小雨も降りだした。早足で稜線を下り、10時35分カールへ到着。少しだけ休憩してからテントを撤収、雨も止んだ11時35分、カールを後にしたのである。 |
![]() ナガバキタアザミ |
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日高山脈の固有種カムイビランジ、いつか見たいと思っていた。「あったぁ〜〜〜」おばさんの大きな叫び声に思わず立ち止まる、かけつける・・・・今回は運良くこの2輪だけが咲いて待っていてくれた。淡いピンクの花びらが強風に揺れている、可憐な姿とは裏腹になにか力強さを感じてしまう。 |
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カムイビランジ |
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水分をタップリと含んだテントや登山靴を入れたザックは、予想外の重さとなった。もちろん体の疲れもあるのだろうが、どう考えても前日よりは重くなったような気がする。三股までの下りはまさに前日以上の緊張の連続となった。雨で濡れて少しぬかるみ、岩石も滑り易くなっている、koyaさんも「こっちだよ、そこを通って、、、」と指示を出す。三点確保、足元しっかり、、、うぅ〜〜〜足が届かないぃ〜〜〜 13時50分なんとか三股へ、遅い昼食をとり16時30分八ノ沢出合へ。なんとかギリギリで明るいうちに七ノ沢出合にたどりつけそうである。ほとんど巻き道を使わずにジャブジャブと本流を漕いだり川原を歩いて行く。しかしこの頃から私の体を重いザックが苦しめ始めた。「koyaさん、ちょっと休憩しましょう」その度に川の水をたっぷりと含ませたタオルで顔におしあてる。 休憩する度にしきりと地図を広げて現在位置を確認する。「まだここかぁ〜〜〜おっ、もう少しだね〜〜〜さあ、頑張ろう」私は自分に言い聞かせるように呟いていた。 遠くに七ノ沢出合が見えてきた。「あぁ〜〜〜もう少しだ、もう少し、、、」、私はやっとケースにしまいこんでいたカメラを取り出した。今回の物語のフィナーレはここの写真にしようと決めていた。少し暗くなってきた川原をkoyaさんとおばさんは前方の七ノ沢出合に向かって歩いていた。 |
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18時50分、七ノ沢出合到着。ザックを下ろし「やりましたぁ〜〜〜koyaさん、ありがとう・・・」私はこみあげてくるものを感じながら、koyaさんの手を固く握り締めていた。 ブランク |
ブランク |
ここまで来ればもう危険なところは無い、、、のだが、、、ヘッドランプで照らしながらの長い林道歩き、もう完全に限界スレスレである。投げ出したい、この重いザックをかなぐり捨てて、、、そんな欲求にかられながら黙々と歩く。暗い林道だから周りの展望などもちろん無い。 俯く、休む、そして歩く、そんな繰り返しが延々と続く。あぁ〜〜〜まだかぁ〜〜〜21時5分、遂に車止め地点へ到着。「着いたぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」私とおばさんはアスファルトの上にペタンと座りこんでしまった。でも笑顔だ、ついに成し遂げた笑顔だった、笑いながら沢装備を解く! こうして長く厳しいカムエクへの挑戦は終わりを告げた。それは二人にとって「見るだけの山」から「山頂へ立つ山」へと変わりながら・・・ |
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