ゆっくりゆっくりと歩を進める。雲海が眼下に大きく広がっていた。延々と遠くまで続く雲の海を見ていると吸い込まれそうになるほど美しい。そんな光景に包まれながら歩く、これぞ山登りの醍醐味と言ったところだ。 |
火口壁上を行く |
遠くまで広がる雲海が美しい |
火口へと落ち込む斜面にはイワギキョウやコガネギク等~色とりどりの花々が咲いていて美しい。もちろん近寄れる距離では無い。足元のウメバチソウにカメラを向けた。やや終盤だったもののひと塊りになって咲いていた。 「咲いてるわ」おばさんがうれしそうに言う。それは今回の山行の目的であるオノエリンドウだった。北海道ではこの山でしか見られない。しかもここまで登らなければ見られない。過去何度か見ているのだが、どうしてももう一度見たくてこの日の山行になったのだ。草丈10cm前後、ちょうど咲き始めたところ、その愛らしい姿で私達を迎えてくれた。ザックを下してひと呼吸、汗を拭い水分補給して~おもむろにカメラを向ける。苦しい登りに堪えてやっと再会できた嬉しさをかみしめながら。 |
ウメバチソウ |
オノエリンドウ |
火口壁上では最高点のような賑わいは無い。ゆっくりと展望を楽しみながら昼食タイム。約1時間の至福のひと時を満喫して、11時55分下山開始だ。ウラジロタデやチシマアザミ、カワラボウフウ等が良い雰囲気で咲いていた。そんな美しさを目に焼き付けてながら下って行く。 |
下山開始 |
ドンと足を置いた瞬間、「うっ!」私は太ももに攣りを感じた。「まずいっ」あわててその部分をもみながら立ち止まる。ザックを下して塩分補給、やわらか仕立てのサケトバを口にほおり込む。ミネラル飲料を飲み干して小休止。なんとか大事にいたらずに済んだ。ここまで首にぶらさげていたデジタル一眼をザックに仕舞い込み、下山に専念することにした。何せこれからまだ長い下りが待っているのだ。 樹林帯に入って行く、おばさんはウラジロタデやコガネギクに包まれながらゆっくりゆっくりとペースダウンしながら下る。途中は何度も何度も小休止。どうやら私の太ももの気配は安定したようだ。高度が下がるにつれて朝は見られなかった視界が広がって尻別岳方面が見えていた。 「あっ、ネズミよ」小さなネズミがチョロチョロと登山道に出て来た。予備で持って来たコンデジのシャッターを押す。尻尾が長いのでアカネズミかヒメネズミだろうか。「ツルニンジンが咲いてるわ」おばさんが見つける。普通花の内面に紫褐色の斑があるのだが、どうやら斑の無いタイプのようだ。ザックからデジタル一眼を取り出して撮影する。そんなのんびりモードの下山は、長い道のりでの一服の清涼剤のようなものだ。 16時ちょうど、登山口に到着。賑わうキャンプ場を横目に満足感に浸りながら装備を解いた。 |
左に尻別岳が見えて |
アカネズミ? ヒメネズミ? |
ツルニンジン |
コースタイム(含休憩時間) 登山口 05:15 3合目 06:24 5合目 07:41 七合目 09:02 九合目 10:10 真狩分岐 10:45-11:55 登山口 16:00 【歩行距離 13.6km 延行動時間 10時間45分】 |
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