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雲ノ平からお鉢平展望台まではほぼなだらかな約2kmの道のりだ。ただ高地での歩行となるのでこの時期には防寒対策は必須だろう。この日は風も無くほぼ快適な日和だったが、天候が急変すると一気に気温が下がって冷たい雪模様となってもおかしくない時期でもある。装備には防寒着や冬用の手袋も必要だろう。

チングルマ、クロマメノキ、ウラシマツツジ、ナナカマド・・・周辺の山々も背景となって美しい紅葉グラデーションが展開していた。まるでモザイク模様のような紅葉も目に飛び込んで来た。

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奥に赤石川を見て

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北鎮岳を背景に

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まるでモザイク模様のような

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お鉢平展望台が近づいて来た。周辺の彩りを目にしながらひと登り。午前11時25分、お鉢平展望台に到着した。石室前の分岐から約1時間ほどであった。眼下にはお鉢平の全景が望まれる。この頃からやや雲が多くなって来て二人占めの展望台は深い静けさを感じる雰囲気さえ漂った。

腰を下して昼食タイム、スポーツドリンクを飲み干し食事をとりながらじっと耳を澄ませる。「ピチッ」時折遠くでナキウサギの声が聞こえるがその姿は見えない。食事をしているとポツポツと登山者の姿も見かけるようになってきた。

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もうひと登り

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お鉢平
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お鉢平展望台から黒岳石室へ向かって戻り始めるころには、前方にはガスがどんどん広がり始めていた。そのガスの中に入ると途端にひんやりとしてくる。あわててアウターを着たがほどなくガスが消えて来て・・・どうやら雨が降りだすことはなさそうだ。

「あっ、シマリスだっ」おばさんの足元の岩影にエゾシマリスが居た。岩陰に潜り込んだり出てきたり・・・そのうちピョコンと岩の上に乗ってカメラを構えるおばさんの方をジッと見ている。「かわいいっ!」小さな声でそう言いながらおばさんはシャッターを押した。そんな出会いの次はホシガラスだった。ハイマツの実をくわえては地面に下りて啄んで~またハイマツの中に飛び込む。少し離れて歩いていた私はすぐ目の前でホシガラスと鉢合わせ。もちろんすぐに飛び去ったが・・・いやはや、そんな様子は見ているだけでも楽しい。

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ガスに覆われてきた雲ノ平を戻る

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エゾシマリス(おばさん撮影)

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ホシガラス(おばさん撮影)

午後1時ちょうど、ひっそりとした石室の前を通過して~もう一度周辺の紅葉を楽しみながら黒岳を目指して登って行く。黒岳の頂上手前の斜面は「黒」ではなくてまるで「赤岳」?とでも呼びたくなるようにウラシマツツジの紅葉で埋め尽くされていた。

登山口に向かって黒岳の東斜面を下って行く。眼下にマネキ岩が見えて来た。私はこの周辺は下りながらの光景に魅力を感じる。鮮やかなナナカマドの奥に見るマネキ岩、そして沢へ向かって落ち込むような紅葉模様には圧倒された。高曇りの弱い陽射しを受けたその彩りは、朝からの時間の経過もあるのか、より一層の深みを感じさせた。

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黒岳石室周辺の紅葉

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黒岳の頂上に向かって登る

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雲が流れてきて

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眼下にマネキ岩を見て

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鮮やかなナナカマドの奥に見るマネキ岩

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朝よりも一段と鮮やかさを増したマネキ岩周辺の紅葉
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「凄いわねぇ~」おばさんがそう言いながら立ち止まる。行き交う人影はまばらなので、私は何度も何度も立ち止まりながらシャッターを押した。もちろんまだ咲く花々ももう一度撮りなおしながら。登り始めてからちょうど8時間を経過した午後2時50分、登山口に下り立った。リフトからロープエウィへ・・・一気に現実に?立ち戻る。

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秋色に包まれながら

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コースタイムは参考になりませんが、記録として残しておきます。休憩&撮影時間を含んでいます。

リフト終点駅 06:50  黒岳 08:30-08:50  黒岳石室 09:20  桂月岳 09:45-10:00  黒岳石室 10:20-10:30  お鉢平展望台 11:25-12:00  黒岳石室 13:00  黒岳 13:30-13:50  リフト終点駅 14:50

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