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「私はここまでにしようかな、こんなにクッキリと見られたし」いつもご一緒しているkusaさんがちょっと弱音を吐いた。どうやら暑さのせいで少し疲れたようである。「でもさ、もう少しだよ。あの豊似岳の奥に広がる展望がまた素晴らしいんだから」、私の言葉にkusaさんはオニギリを頬張り頷いて立ち上がった。

豊似岳に向かっておだやかな稜線を進んで行く。距離にして約800m強、一旦緩やかに下ってコルからの標高差60mほどの登りである。左に豊似岳からオキシマップ山へと続く鋭い稜線、右には遮るものの無い南日高の山々を見ながら、快晴無風の心地良い稜線歩きが続いた。

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豊似岳に向かう

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広がる展望を楽しみながら稜線を行く
日高山脈の幅1024ピクセル画像はこちらから

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豊似岳からオキシマップ山へ続く稜線

豊似岳の山頂直下はハイマツに覆われている。うっすらと刈り分け跡が見受けられるものの、結構濃いハイマツ漕ぎとなるようだ。残雪を利用してハイマツ帯を迂回して登って行く。締まった雪の時期ならではのルートである。最後は少しだけハイマツを漕いで三角点のある山頂に飛び出した。そして目の前に広がる大展望に・・・もう一度立ち尽くし、思いっきり歓声をあげる。
11時45分、登り始めてから休憩込で3時間45分であった。

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山頂直下はハイマツを交わして

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最後はハイマツ漕ぎ

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目の前に大展望が広がる

再度目の前の南日高の山々を見て、、、その連なる山々が大地に落ち込んだ奥に~広尾町の十勝港から十勝海岸までも見えていた(写真では確認出来ないが)。視線を転じるとアポイ岳からピンネシリ、そしてその手前には日高の山らしい細く鋭い稜線が連なり、更に登って来た1088mピークと観音岳が美しい。

「やっぱりここまで来て良かったわぁ」昼食をとりながら感慨深げにつぶやくkusaさん、「こんなに見えて、こんなに風が無くて、、、この山でこんなに見られたのは10年以上も前に一緒に登った時以来よ」おばさんが言う。

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再度、南日高の山々を見る
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左奥にアポイ岳~ピンネシリ、手前には日高の山らしい細く鋭い稜線が続く
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右の1088mピークと観音岳

「こんな素晴らしくて・・・もう下りたくないね」そう言うkusaさん、「泊まってけば良いしょ、俺たちは下りるけど」仲間からの言葉に全員が爆笑~それが下山開始のサインとなった。

1088mピークに向かって一旦緩やかに下って行く、コルから斜面を登り切って1088mピークで名残惜しそうにもう一度見る日高の山々。私は最後尾から稜線に張出す雪庇上を歩く人達を俯瞰した。稜線分岐からは百人浜~えりも岬へと続く海岸線に向かって飛び込むかのように雪庇上を下って行く。
15時05分、登山口に到着。「どうもありがとうございました」充実した山行に充たされながら私達は遠い札幌への帰路についた。

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1088mピークに向かって下山開始

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雪庇の張り出す稜線を俯瞰する

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眼下にブルーの太平洋と百人浜からえりも岬へと続く海岸線を見ながら

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コースタイム(含休憩時間)
入山ポスト 08:00  稜線分岐 10:15-10:40  1088mピーク 11:10-11:25  豊似岳 11:45-12:30  1088mピーク 13:05  稜線分岐 13:40-13:55  スタート地点 15:05

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