天売島二日目(5月7日)、申し込んでいたボートによる海鳥ウォッチングは風が強いため中止になった。「今日は島めぐりをしましょうか」「そうしましょう」サトシンさんの提案にもろ手を挙げて賛成した。少し風はあるものの上空は晴れていた、どうやら天気予報は良い方に外れているようである。 一周約12kmの島めぐり、私達にとってはこの距離は何の抵抗も無かった。広がる景色を楽しみ、野鳥の囀りに包まれ、足元の山野草を見る。都会の喧騒から離れて〜のんびりと時間を気にしないで歩いて行く。 「これってチシマエンレイソウですよね」、前日海の宇宙館の方に咲いているかもと聞いていた花である。「もっと先に群落がありますよ」何度かこの島を訪れているサトシンさんの言葉通り、やがてチシマエンレイソウの大群落が目の前に広がった。「あぁ〜」私は圧倒されながら歓声を挙げた。 チシマエンレイソウはオオバナノエンレイソウの変種で子房が濃紫色のものである。クッキリとした輪郭で中心部の濃い色合いがアクセントになり、とても美しい。そして何よりちょうど見頃だった。宿の近くの神社周辺でも見かけたが、そこではオオバナノエンレイソウに近いものが多かった。ジックリと写真撮影だ。 |
チシマエンレイソウ(子房が黒紫色) |
大群落 |
花の写真撮影を終えて赤岩園地へ、昨夜の強烈な印象とは裏腹に〜野鳥の囀りが聞こえるおだやかさだ。それにしても足元に無数に広がるウトウの巣穴は異様な光景にも見える。 舗装された島一周コース、時々車が通り過ぎる程度で〜とにかく野鳥の囀りに包まれながら歩いて行く。「あっ、ノゴマよっ」「あれは?」「飛んだぁ・・・」。千代ケ浦園地の海鳥観察舎で昼食をとりながら眼下の海鳥を観察し〜観音崎展望台から広がる光景を楽しむ。 |
赤岩灯台 |
赤岩展望台 |
ウトウの巣穴 |
千鳥ケ浦園地海鳥観察舎へ |
海鳥観察舎から観音岬方面を見る |
観音崎展望台から千鳥ヶ浦〜カブト岩方面を見る |
観音崎展望台からちょっと遅れて戻っている時、前方を歩いていたサトシンさんとおばさんがカメラを構えていた。良く見ると草わらにノゴマがいるようである。そしてそのノゴマはどんどん私の方に近づいて来た。どうやら私に気づいていないようである。「エゾエンゴサクとノゴマ」そんなシーンを撮ることが出来た。 そして・・・今回の島めぐりで最高の出会い、、、「あっちへ飛んで行ったの・・・」「ヤツガシラだったかもしれないね」。ヤツガシラ、ネットで事前に天売島を調べた時には4月中旬に観察されている記録があった。「もういないよね〜」と思ってはいたが、ひょっとしてと密かに期待はしていた鳥である。 その鳥がいたのか〜私達はしばらくその場で休憩することにした。ポツポツと雨が降りだした。あきらめて少し歩き出した・・・「あっ、何か飛んだ」「あの木の中」〜じっと見つめる、凄い枝かぶりだが、、、「ヤツガシラだっ」興奮の一瞬だった。静かに近づいてあちこち撮影ポイントを探す。「ダメだなぁ」「こっちも枝かぶり」「ここだね、これしか無いよ」とサトシンさんがポイントを見つけてくれた。震え気味にシャッターを押す、「あっ、冠羽を広げた・・・」、、、ヤツガシラはフワフワと飛び去った。この間約25分(後に写真の撮影情報から確認)、感動の出会いであった。 |
エゾエンゴサクとノゴマ |
ヤツガシラ(おばさん撮影) |
冠羽を広げた〜 |
島巡りを終え「海の宇宙館」に立ち寄った。翌朝に再度ボートを申込み、ホットコーヒーを飲みながら天売島のビデオを見せていただいた。ヤツガシラに出会った事をお話しすると早速今日のリストに記入されていた。 充実した2日目を振り返りながらのオロロン荘での夕食は海の幸三昧、翌朝の出会いを期待しながら早々と眠りについた。 |
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