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コル付近で標高約570m、山頂まで距離にして約1.3kmの道のりを標高340mを稼ぐことになる。前方には大きな山塊が見えている。「さあ、いよいよだね」私はちょっと気合を入れながら一歩踏み出した。水元沢コースは2001年秋に歩いていた、まだまだ私達が若かりし?頃である。その時にはカムイヌプリをピストンして室蘭岳の西尾根コースを元気良く下っている。
「あの時もここの登りはしんどかった・・・筈・・・」私は吹き出る汗をぬぐいながら前方を見上げた。気温がどんどん上がって来ているようである。「久々ね、こんなに暑いのは」おばさんはそう言いながら進んで行く。

急斜面を一歩一歩俯きながら登って行く、次々と下りて来る人達とすれ違う。「ごくろうさま〜」「ここが一番きついとこだよね」「頑張って」そんな声に励まされながら進んで行く。「あらっ、やっぱり又お会いしましたね」水元沢コースで最初に出会った女性が下りてきた。「オオサクラソウがとっても綺麗に咲いていました、ありがとうございました」「そうでしたか、良かったですね」

登り切ったと思うとまた次の斜面が待っている、とにかくこの登りは急がぬことだと〜わかってはいるものの〜やはり辛い。









やっと山頂直下の反射板が見えて来る、山頂へ向かって笹の刈り分け道が続いている。「ちょっと休もうか」ザックを下して水分補給だ。「暑いね〜」「静かね〜」噛み合わぬ会話が可笑しい。

最後の登りである、近く見えて遠い道のりだ。「ホー ホケキョッ」喘ぐ私達に「ちょっと休みめば〜〜〜」とでも言うかのようにすぐ傍でウグイスが鳴いた。「何処?」木々の間にその姿を見つけた。「ホケキョッ」ウグイスは飛び去った。
振り返ると登って来た刈り分け道の彼方にカムイヌプリが見えている。「10年前はあそこまで行って戻って来たんだな〜」そんな思いを胸に秘めて?反射板を横に見ながら数名の方々が憩う室蘭岳山頂へ立った、11時50分。ヒュッテを出発してから3時間20分だった。


前方に反射板と山頂へ続く登山道が見えて


振り返るとカムイヌプリが




     
山頂からの展望は、気温が上昇しているせいか遠望はほとんど無い。紋別岳(伊達)方面が微かに望める程度だった。軽食を頬張り水分補給、「あらっ、、、」おばさんが小さな声をあげてカメラを持った。振り返るとなんとアオジが・・・忙しく動き回りすぐに笹藪に消えた。「撮れたかい?」「どうかな〜なんとか写っていると思うんだけど」


山頂にひょっこりと現れたアオジ(おばさん撮影)


霞む紋別岳(伊達)方面

帰路は南尾根を下った。眼下にはまだガスに覆われている室蘭市街、測量山だけがそのアンテナ部分を微かに見せていた。このコースからはまだまだ登って来る人達がいる。赤ちゃんを背負いながら登って来る人、走りながら登って来る人等それぞれのスタイルで登って来る。
登山道脇にオクエゾサイシン、ミヤマエンレイソウを見つけカメラを向ける。高度が下がるにつれてタチツボスミレが彩る。13時15分白鳥ヒュッテへ到着。4時間45分の山行だった。


霞む室蘭市街を見下ろしながら下山


オクエゾサイシン


ミヤマエンレイソウ

コースタイム(含休憩時間、花撮影時間)
白鳥ヒュッテ 08:30  林道分岐 09:15  尾根取り付き 10:25  縦走路分岐 10:45  室蘭岳 11:50 - 12:15  白鳥ヒュッテ 13:15

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