北鎮岳に立って私が一番先に見る山は愛別岳だ。山頂に立つまで見えないこともあるが、まだ未踏のその山は私を寄せ付けない魅力がある。かと言って、それに挑戦的に登ろうと思ったことはあまり無い。所謂、私にとっても見て楽しむ山なのだ。 「うっ、雲が・・・」私は絶句した。愛別岳方面から次から次へと雲が押し寄せていた。もちろんお目当ての愛別岳も見えない。「そう言えば北鎮岳に向かっている時に黒岳方面にも雲が押し寄せていたなぁ〜」、極端に天気が悪化する雲では無かったのでさほど気にしていなかったが、肝心の北鎮岳山頂でも・・・ ちょっと落胆しながら視線を転じる〜熊ケ岳の奥には旭岳、お鉢平を囲む間宮岳の奥に後旭岳、彼方にはトムラウシ山も見えている。 |
比布岳や愛別岳にはガスが・・・ |
右に旭岳、左奥にトムラウシ山 |
ザックを下して軽食を頬張り、水分補給。数名の人達が行き交うが、あまり長居する人はいない。もちろん展望は素晴らしいが、お鉢巡りや、比布岳、安足間岳方面へ縦走して行く人達の通過点でもあるからだ。 私は雲が押し寄せる比布岳、愛別岳方面を見つめていた。ひょっとして雲が途切れて・・・そんな期待をもちながら・・・「やっぱりダメか〜まあ誕生日記念で北鎮岳に立った事で良しとするか」ザックを背負い立ち上がった。一旦旭岳方面の展望を再確認、さらに未練がましく・・・目を転じた。「おっ、、、比布岳が」〜一気に雲は消え去り〜そして愛別岳がついにその姿を現す。「おぉ〜〜〜」私はファインダーを覗きながらシャッターを押した。鋸岳の山腹を横切る登山道、その奥にそそり立つ愛別岳、さらに比布岳から安足間へ続く地肌むき出しの稜線。「これだよ、見たかったのは・・・ありがとう」私はなぜか山々にお礼の言葉をささげた。 北鎮岳から下山を開始した。眼下に裾合平を見下ろしながら〜〜〜雲の消え去った黒岳や凌雲岳方面を見ながら足取りは軽い。小走りに北鎮岳分岐へ、そしてお鉢平展望台へと下って行く。 |
安足間岳、比布岳、右に愛別岳 |
愛別岳をズーム 手前に鋸岳 |
裾合平を見下ろして |
黒岳と凌雲岳 |
ちょうど1時間半でお鉢平展望台から北鎮岳を往復した。おばさんはニコニコ顔で「シマリスもナキウサギも撮れたよっ」と言う。そばにいた御夫婦や単独の男性など数名の方々と楽しんでいたようだ。「あっ、ほらあそこに」「あっ、ハイマツに入った」「あの岩陰に・・・」、なるほど、冬眠に向かって巣材や食料を調達しているエゾシマリス、「ピチッ、、、、ピチッ、、、」と鳴きながら岩陰から顔を出すエゾナキウサギ〜これなら退屈はしない筈である。 なかなか見られないナキウサギの表情も撮れて〜おばさんは大満足だった。それにしても、ここでこんなに見られることを知っていたのか?日頃もエゾリス等の写真を撮って楽しんでいるおばさんならではの「勘」なのだろうか。 |
【 エゾシマリス(おばさん撮影) 】 |
【 エゾナキウサギ(おばさん撮影) 】 |
12時05分、「こんなに撮れたんだからもういいか〜」おばさんはちょっと名残惜しそうではあったが・・・私達は戻り始めた。雲の平を埋め尽くす紅葉をもう一度確かめながら〜登山客が賑わう黒岳石室を横目に、そのまま大勢の人達の姿が見える黒岳山頂に向かって登って行く。 山頂でちょっと休憩して〜7合目登山口に向かって下って行く。もう1時を過ぎているのだが、まだまだ登って来る人達は絶えない。「やっぱり人気の山だね〜〜〜」「今日で良かったね」、この日の天候に感謝しつつ・・・14時、私達はリフトに乗り込んだ。 |
黒岳に向かって登り |
眼下にマネキ岩を見ながら下山 |
コースタイム(含休憩時間) 7合目登山口 06:45 黒岳山頂 08:15-08:35 黒岳石室 09:05-09:15 お鉢平展望台 10:05-10:10 北鎮岳 10:50-11:10 お鉢平展望台 11:35-12:05 黒岳石室 12:35 黒岳 13:00-13:10 7合目登山口 13:55 |
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