遠くの視界は無いものの、風は弱くおだやかな山頂でのひとときになった。軽食を食べながらコーヒーを飲み干す、いつもの私達のパターンである。「駄目かなぁ〜〜〜」「ちょっとで良いんだけどね〜」「そう、30分なんて言わないから、ほんの1分だけでも良いから見せて欲しいわよね」そのほんの1分と言う控えめな要望さえ全く聞き入れないこの日の天気だった。 11時25分下山を開始した。1088mピークを過ぎて雪庇上を歩いて行く。私は遠く離れてそんな模様をファインダー越しに見つめていた。ちょっとズームしてシャッターを押す。登り始めてからまだデジイチの出番は無かった。 |
1088mピークからの下山 |
張り出す雪庇 |
「ほらっ、明るくなってきたよっ」「気のせいじゃない〜」「でも上を見て!!!」上空には時折円く輝く太陽が見え隠れし始めた。「これでガスが切れてくれたら・・・」そんな言葉を無視するかのようにまた日差しは隠れてしまう。「あっ、また明るくなってきたぁ」「見て見て」そんな声に思わず振り向いてみた。ついにあの1088mピークの尖った山容が目に飛び込んできた。思わず立ち止り歓声をあげる。「こんな光景を見ていると降りたく無くなってしまうね」「ほんと、、、やっぱり良いわねぇ」 そして1088mピークから観音岳へと続く稜線も視界に飛び込んできた。見えてるうちにとコンデジのシャッターを押し、、、そしてザックからデジイチを取り出した。ファインダーを覗く、、、シャッターを押す感覚が心地良い。 |
12時15分廃屋跡についた。二枚岳から庶野海岸の展望をしっかりと目に焼き付けるように佇むひととき!「何とか見れたわね」「今日の天気模様から言っても、すごく良かったんじゃない」「そう、それほど荒れなかったし、とにかく歩きやすかったからね。こんなことってなかなか無いよ」 いよいよ尾根を一気に下って行く。少し気温も上がってきたせいもあり、雪質は少し柔らかくなってきていた。それがまた尻滑りに適した状況となっていたわけであり、「キャーーーッ」「オーーーッ」と歓声をあげながら滑って行く。流れる雲を眼下に見ながら、久々の山行も終わりをむかえようとしていた。 |
13時ちょうど登山口へ到着。登り3時間15分、下り1時間35分(途中休憩時間含む)、距離にして往復約9km(GPSログより)の行程であった。ツボ足登山向けの雪質に恵まれた山行でのゆったりタイムだった事を付け加えておく。 「お疲れさまでした〜」「とっても楽しい山でした、ありがとうございました」、、、「また機会がありましたら」私達はえりも山岳会の皆さんに別れを告げ、札幌へ向かって長い帰路についた。 |
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