この日も無風、静かな山頂にザックをおろした。水分補給をしておもむろに立ちあがり、ファインダーを覗いた。長万部岳は山頂奥の斜面から顔を出すように見える程度だ。やはり私達の注目すべきは何度か登っている大平山だった、うっすらと雪化粧したその表情は優しい印象を受けて見える、しかし実際に登ってみると厳しい山である。 霞む寿都町方面、幌別岳は何とか確認出来る。南へ目を移すと写万部岳方面の山々が見える。しかしこの日の遠望は霞んでいた。残念ながら羊蹄山やニセコ連峰、日本海や噴火湾などは確認出来なかった。 |
長万部岳 |
大平山方面 |
大平山をズーム |
霞む寿都町方面、右に幌別岳が |
南東方面を見る〜左に写万部岳等の山々 |
山頂で15分ほど休憩して下山を開始した。ロープを補助にしながら急斜面は慎重に、、、しかし絞まった雪はちょうどクッションのようになっていて下りは思いのほか順調だった。一気に下って行く・・・眼下に広がる紅葉を見ながら・・・ 急な山頂部を後にして下山途中、「あれっ、これって誰か登って来た足跡じゃない?」おばさんの言葉で足元を見た。一人や二人では無い足跡が残っていた。「きっとグループで登って来て途中で戻ったんだよ」「紅葉を見るのに登って来た人達かもね」、更に下って行くと登って来る単独の女性、そして4人の男女とすれ違った。それにしてもこの紅葉時期の好天の黒松内岳としては登っている人は少ない方だろう。 「おっ、このアングルだぞっ」私は木の間から見える紅葉に目をとめた、その先にはうっすらと雪化粧した長万部岳があった。 12時20分登山口へ着いた、下り55分だった。「なかなか良かったよね、紅葉と青空と雪だからね」「十分楽しめたわ」おばさんは満足そうに微笑んだ。 |
急斜面を慎重に下る |
眼下に紅葉を見ながら |
コースタイム(含休憩時間) 登山口 09:05 528m地点 10:10 山頂 11:10-11:25 登山口 12:20 |
黒松内岳を下山後、私達は歌才ブナ林を訪れた。私達にとって今シーズン最後の紅葉はブナの金色の輝きで終わろうとしていた。 |
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