セピア色の想い出

滑りながら沢の緑はことのほか美しく、水の流れもやさしく、時には激しく、たくさんの虫さんが体にまとわりつき…
歩いているうちに、おっさんはなぜか胸にこみあげて来るものがありました。

「なんなのだろう、この熱い想いは!」「そっかあーー」
幼い頃近くの川や沢を走り回り、小魚を追いかけ、木の切れ端を持って遊びまわったあの
セピア色の想い出が、おっさんの脳裏によみがえってきたのでした。
でもそんなおっさんも首の周りは虫にさされて赤くはれ上がっていたのでした。「これが自然だい!!」などとつぶやいたおっさんでしたが、かゆいのなんのって、とほほほの世界だったのです。


華麗に登る!「あーーーなつかしいなあーー」などとふっと感じたその瞬間、
突然あたりにこだました
「ワオーーーオーーー!!」、「ギクッ、ターザンか??いやいやここは日本、しかも蝦蟇沢だ」
なんと先頭を歩いていたリーダーの雄たけびだったのです。
「そっかーーー」おっさんもホイッスルをピーーーーとか細く吹いたのでした。

ズルーリとナメ床に足を滑らしたり、渓流シューズが岩の隙間に挟まり、「あれれれーーー抜けない!!」「ヨイショ、コラショ、ソレーー」、スポッと抜けて一安心。
ひとつ目の高巻きではリーダのganさんがザイルを下ろして、それを頼りにホイサカサッサ!


小さな滝は岸をへつり

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