広がる展望に圧倒されながら下山

強風の吹く稜線上ではところどころ登りのトレースがかき消されている。気温も少しづつ上がって来ているようであり、雪質も重くなってきて、、、「雪の色がちょっと汚れているね、黄砂かしら・・・」おばさんの声に足元の雪を見ると確かに白では無い、ちょっと汚れた薄い黄色がシミのようになって見える。「登りの時には気がつかなかったけど、この強風にのって運ばれたのかなぁ〜〜〜」
そしてこの暖気と黄砂?がやがて私達を苦しめることになったのだ。出発する前までは「今日は気温が上がるからシールワックスを塗らなければ」と思っていたのだが、すっかり忘れてそのままスタートしてしまった。そしていまおばさんのシールには雪がくっつき始め、おっさんのスキーも重くなり、、、稜線上はアップダウンがあるのでシールを外すことも出来ず・・・何回も立ち止まりながらシールについた雪を落すのだった。

しかし稜線を進むにつれて、そんな辛さを吹き飛ばすような展望が広がり始めた、雲がとれて徐々に見えて来たのである。前方にはまるで見上げる高さの夕張岳が覆い被さるかのような迫力で聳え立っていた。

稜線を戻る
見上げる高さの夕張岳を前方に帰路へ

木々が途切れて視界が広がるたびに歓声をあげる、「ほら、さっきよりも見えるぞ、すごい、これだ〜これなんだなぁ〜〜〜」。私達はその広がる展望に立ち尽くした。鋭鋒中岳から芦別岳、ポントナシベツ岳、そして鉢盛山、更には夕張マッターホルン(二等三角点 点名 天狗岩1415.6m)と連なる山々・・・ズームしながらファインダーを覗く、私は叫び声をあげながらシャッターを押し続けた。

芦別岳方面
芦別岳方面の展望

芦別岳
左から中岳、芦別岳、ポントナシベツ岳(ズーム撮影)

夕張マッターホルン
鉢盛山と夕張マッターホルン(ズーム撮影)

735mポコを過ぎて稜線から急斜面を降りはじめる、、、と、見上げると、嗚呼〜夕張岳が一層近くに聳え立ち、その圧倒的な迫力と美しさに魅了されながらまた立ち尽くす。滝ノ沢岳と前岳がまるで砦のように立ちはだかり、その後ろに真っ白なピークが顔を出す。その姿は「花の百名山」と言う響きとは違う、神々しい荘厳ささえ感じるのだった。

夕張岳
滝ノ沢岳、前岳と夕張岳(ズーム撮影)

尾根上の雪はすっかり重くなっていた、滑りを楽しむよりも安全第一で慎重に下る。林道に降り立ちほっとしてひと息!「展望が素晴らしかったねぇ」「うん、凄い迫力だったし・・・」、私達は林道を辿りながら木々の間から見える夕張岳を見つめていた。

最後にこの山の存在やルート情報を教えていただいた方々、そして前日?ラッセルをしていただいた方に感謝しつつ、この報告を終える。

   
コースタイム(含休憩時間)
林道入口 08:25  尾根取付き 08:47  735m 10:15  山頂 11:10
山頂 11:50  735m 12:28  尾根取付き地点 13:05  林道入口 13:27

GPSトラックログによるイメージ図
イメージ

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