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頂上へは進路をやや北にとってなだらかな稜線が続く。もう距離にしても700mほどだが見た目はまだ遠い印象を受ける。一旦少し下って、本峰手前のピークに向かって登って行く。チングルマの羽毛が奥のアンギラスを背景にして揺れる。登山道脇に咲く花々を愛でながらハイマツの斜面を横切り最終コルに立つ。登山道脇を埋め尽くすのはイグサ科のタカネイの群落だ。地味な植物だが北海道では大雪山系でしか見られないようだ。ほぼ果実の状態ではあったが貴重な植物の割には無造作気味に群生しているのがうれしい。

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頂上(左)へ向かって稜線を行く

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チングルマの羽毛が揺れる(奥はアンギラス)

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本峰手前ピークのハイマツの斜面を横切り

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最終コルへ

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群生するタカネイは果実の状態になっていた

まだ咲き始めたばかりのタカネトウウチソウはバラ科、ムカゴトラノオはタデ科、そんな植物の科名を知るのも勉強になる。ミヤマリンドウやミヤマサワアザミは見頃を迎え、ハイマツの下に隠れるように咲いていたエゾイチヤクソウやリンネソウにカメラを向ける。キク科のサマニヨモギもあちこちで見かけた。前週の赤岳~小泉岳周辺で見られた白っぽく見えるエゾハハコヨモギとの葉の違いにも注目してみた。

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タカネトウウチソウ

ムカゴトラノオ

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ミヤマリンドウ

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エゾイチヤクソウ

クモマユキノシタ

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リンネソウ

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ウスユキトウヒレン

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ミヤマサワアザミ

サマニヨモギ

頂上へ向かって最後の登り、ハイマツに囲まれた斜面をゆっくりと花々を楽しみながら登って行く。見上げる空に雲が漂ってきた。午前10時15分、ニセイカウシュッペ山の頂上に立った。広がる展望が・・・と期待されるところだが、西側からどんどん雲が流れてきていて、残念ながら表大雪方面は見えない。大槍付近にも雲が漂い始めていた。ただ雨が降るような雲でも無く、最高地点(1883m)方面へ向かって少し進むと平山方面はスッキリと見えていた。

ザックを下して汗を拭い、軽食を頬張りながら大休止だ。私達の山行は咲く花々がメインなのでペースは極端に遅いが、途中の休憩はあまり長くはない。何度も立ち止まりシャッターを押してすぐに歩き始める、そんな連続だ。

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頂上へ向かって最後の登り

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イワブクロ

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頂上へ

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大槍方面に雲が流れてきて

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吊尾根アンギラスと平山稜線、奥に屏風岳や武利岳、武華山など
画像クリックで幅1024ピクセルのパノラマ画像表示

今回の山行で私達が注目した花々をいくつかあげて見る。まずはタカネシオガマ、登山道脇でも見られたがやや終盤。かわってハイマツの下に隠れるように咲いていた大株を見つけた。ちょうど見頃でしかも緑に囲まれていたので一段と際立って見えた。
頂上周辺ではチシマギキョウがあちこちで見られたが、高山ヒースの中に咲く様がとても美しかった。イワギキョウも群落をなして咲いていてこれもちょうど見頃。
ラン科の花ではタカネトンボ、昨年も見ていたが~とにかく小さくて見つけるのは容易では無い。じっくりと登山道脇に目を凝らしながら歩かないと出会う機会は少ないかもしれない。

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タカネシオガマを上から見ると

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タカネシオガマを横から見ると

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チシマギキョウ

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イワギキョウ

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タカネトンボ

花をアップで

午前10時50分、次々と登って来る方々と入れ替わるように~私達は下山を開始した。もちろん、帰路も登山道脇の花々を楽しみながら~ゆっくりとじっくりと。「これはやっぱり綺麗だね」「これは、撮りなおしだな」しゃがみ込みシャッターを押す。「こんにちは」「どうぞ」「ありがとうございます」そんな挨拶を交わしながら下って行く。

「お疲れ~」午後2時25分、登山口に到着。約8時間のニセイカウシュッペ山の山行を終えた。

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コースタイムは参考になりませんので省略します

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