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前週は表大雪の赤岳~小泉岳の花々を楽しんだ私達、「次はやっぱりニセイカウだね」と言うことになり、今年も北大雪のニセイカウシュッペ山に登ることにした。毎年定点観察気味に登ってはいるが、この時期としては今回が一番遅い訪問となった。それだけに、「どんな花が咲いているのかしら」と言った期待もある。

2017年7月30日早朝、上川町中越から長い林道へ入り登山口へ向かう。途中には施錠ゲートがあるので事前に上川森林事務所へゲートナンバーの確認が必要だ。午前6時過ぎに入山ポストのある登山口に到着、既に先行されている方々の車が3台ほどとまっていた。出発準備をしているとすぐに後続の車が入ってきた。装備を整えて午前6時30分、ニセイカウシュッペ山に向かって歩き始めた。

なだらかな樹林帯をゆっくりと進んで行く。この日の天気は~青空が広がり風も弱く・・・「週間天気予報ではあまり良くなかったのにね」日々変わる天気に感謝?しなければとも思える好天となった。「あっ、あったよ」おばさんが早速ミヤマチドリを指差す。登山道脇のあちこちで咲いているのだが、朝の陽射しの眩しさと草の緑と重なってなかなか見つけずらい。それでも目が慣れて?くると「こっちにも~、あっちにも~これなんかどう」と言った感じで見えて来る。

「またミヤマチドリだなっ」と気軽にシャッターを押した一枚の画像、帰宅してから確認したところどうも違うようだ。キソチドリかなとも思うのだが、安易にシャッターを押した結果の画像で、どうもハッキリしない。いづれにせよツレサギソウ属の花の同定は難しいのだ、と言い訳がましく呟いておく。コモチミミコウモリはまだほとんど蕾状態、「もう少しなんだけどなぁ」やっと少し咲き始めたものを見つけてカメラを向けた。茎の葉腋に珠芽(むかご)がついている。大雪山系で良く見かける北海道固有種だ。

早くも花の話しばかりになっているのだが、それに比例するかのように私達の歩みは遅い。「おはようございます」「お先にどうぞ」~次々と後続の方々が通り過ぎて行く。「ちょっと小休止」、花の撮影に夢中になっていると休憩がおろそかになってしまうこともある。特に暑い日などは要注意だ。冷たいスポーツドリンクを喉元に流し込み汗を拭ってまた歩き出す。やがて前方には1742mコブと大槍が見えて来る。

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入山ポストのある登山口

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前方に1742mコブと大槍を見て

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ミヤマチドリ

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キソチドリ?

コモチミミコウモリ

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コバイノイチヤクソウ

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ハナニガナ

シロバナニガナ

高度が上がって一旦視界が開けて、さらにその少し先が「見晴台」だ。ほとんどの方々がここで休憩をとることになるだろう。小槍から朝陽山へと続く鋭い稜線、そして表大雪の大きな山塊が目に飛び込んで来る。「あれが黒岳、あっちは赤岳とか白雲かな」、それらの頂きはやや雲に遮られてはいたが~山座同定が楽しいひと時でもある。

今回の行程は~距離にして約5.5kmほど、標高差は約740mである。林道と作業道をつないで標高1140m付近まで車で入れるのがうれしい。その道も随分と整備されて(なじんで?)乗用車でもほとんど問題無く走れる状態だった。

「行こうか」ザックの重みを感じながら立ち上がり、1742mコブの大きさに圧倒されそうになりながらゆっくりと登って行く。やがて登山道はその北側の斜面を巻くように進んで、左側は深く落込む沢斜面となり、美しい花模様が展開されることになるのだ。

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小槍から朝陽山へ続く鋭い稜線、奥に石狩連峰が見える

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表大雪の山々が一望だ
画像クリックで幅1024ピクセルのパノラマ画像表示

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前方に1742コブを見て

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1742mコブの北斜面を巻きながら

下部の登山道脇ではエゾクロクモソウとアリドオシランを確認出来た。私達はこの山域で見たのは初めてである。エゾクロクモソウは一か所だけだったがちょっと湿った感じのところに生えていた。この花の撮影は困難を極めた? 花が小さいうえに全体に奥行があって、しかもやや暗い。上りでざっと撮影して、下りではレンズ交換をしてじっくりとカメラを向けた。
ミヤマホツツジはほとんどがまだ蕾状態だったが、下りの時にやっと咲き始めた花を見つけた。これから見頃となることだろう。ウメバチソウはちょうど咲き始めたところであった。

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エゾクロクモソウ
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花をズームで

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アリドオシラン

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ヤマハハコ

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ミヤマホツツジ

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ウメバチソウ

深い沢を左に見てゆっくりと登って行く。ちょっと緊張を強いられる岩場は慎重に足場を確認しながら~「よそ見しないでね」咲く花々に気をとられて滑落しては大変である。

ヤマブキショウマが深い沢の流れを背景にして咲いていた。「いいロケーションだなぁ」シャッターを押しながら~年齢を重ねるごとに花を全体の光景の中に見ている自分に気付く。沢斜面をチシマノキンバイソウが埋め尽くし~チシマニンジンやモミジカラマツが白い色を添えていた。

下部の登山道脇で見事なオガラバナを見かけた。ちょっと遠かったのでトリミング画像になってしまったが、雰囲気がとても良かった。ミソガワソウが一部咲き始め、クルマユリはあちこちで咲いていた。

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深い沢を左に見て

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眼下に深い沢の流れを配して咲いていたヤマブキショウマ

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チシマノキンバイソウの群落の中にチシマニンジンとモミジカラマツが咲く

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オガラバナ

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クルマユリ ミソガワソウ

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