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えりも町のkusaさんから「今年は4月10日ですよ」と連絡が入った。毎年恒例の、えりも山岳会の豊似岳登山である。もちろん「参加します」と快諾したものの・・・私は一抹の不安を感じていた。今シーズンは雪山に一度も足を踏み入れていなかったからである。つまり昨秋以降は山には登っていなかった訳であり、夏に向けての特段のトレーニングもしていなかった。
「ヨシッ」と事前に藻岩山に登ることにした、旭山記念公園コースからである。しっかりと装備をザックに詰め込んでアイゼンをつけて登山道を進む。1度目は写真を撮りながらより慎重にゆっくりと~山頂まで1時間55分、2度目は途中の休憩は少しだけにしてゆっくりと登った~山頂まで1時間25分。余裕を持って山頂に立つことが出来た。「大丈夫だな」ちょっと不安は解消された。

2016年4月10日えりも町へ~前日の強烈な風は弱まり、やや低い気温ではあったが上空には青空が一面に広がっていた。牧場跡のビューポイントからは豊似岳周辺の見事な展望が広がっていた。

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左がオキシマップ山、中央奥の白い稜線上が目指す豊似岳
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午前8時ちょうど登山口をスタート、今回は総勢16名の山行となった。作業道跡をしばらく歩いて広い尾根に取り付く。踏み跡、獣道(エゾシカ)があちこちについている。登りの時にはあまり問題は無いが下りではやや方向が不安になるところでもある。久しぶりの山行にそれぞれ話しが弾むが、斜度が増すにつれてその声は少なくなって来る。一旦傾斜が緩んだところで休憩タイム、ほっとしてザックを下す。

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入山ポスト

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広い尾根を登って行く

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樹林に囲まれた尾根路も標高530m付近で一旦視界が開ける。前方にこれから進む尾根が見え、視線を転じると眼下にえりも岬が見えていた。「今日は素晴らしい展望に恵まれそうだね」誰しもそう確信していた。緩やかな登りも~やがて前方に大きな斜面を見てため息をつく。653m標高点に向かっての標高差100mほどの急斜面、笹に覆われていて滑りやすく、しかもその笹に隠れてあちこちに小さな岩が転がっているのだ。
ゆっくりと慎重に足元を確認しつつ~各々小さくジグを切りながら登って行く。斜面上部で一旦休憩して振り返ると、えりも岬の展望が広がる美しいところでもある。やっと登り切った地点で尾根はやや東側カーブする。この地点は下山時に十分注意が必要なところである。尾根を真っ直ぐに下りてしまいがちだからである。

標高約770m地点から尾根の東側に張出した雪庇の上に出た。「ちょっと固いな」、雪面は滑るほどでは無いもののキックを入れないと歩きづらい。「これは疲れそうだ、夏道に戻ろう」そのまま雪庇上を進む人達も居たが、私達は一旦樹林に囲まれた尾根路に戻った。「登りはこっちの方が体に優しそうだよ」踏み跡(獣道)も段々不鮮明になって来るが、尾根に忠実に登って行けば迷うことは無い。

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標高530m付近で一旦視界が開ける

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前方に大きな斜面が立ちはだかる

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653m標高点に向かって登る急斜面

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標高770m付近で尾根の東側に張出した雪庇へ

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一旦夏道?へ戻った

出発前に私が事前に地図上でまとめていた今回の行程は下記の通りである。
【全体】標高差 770m  距離 4.6km  【登山口~稜線分岐】標高差 670m  距離 2.7km  【稜線分岐~1088mピーク】標高差 88m 距離 1.1km  【1088mピーク~豊似岳】標高差 26m  距離 800m
今回の行程の特徴的なところは、登山口から稜線分岐迄で一気に標高を稼ぐと言うところである。この登りを順調にクリアして山頂に向かうことが出来れば大展望を満喫できるだろう。

樹林に囲まれた尾根路も足元に残雪が目立って来て~標高約870m付近で再び尾根の東側に張出す雪庇上に戻った。強い陽射しで幾分雪も柔らかくなってきていた。先行ステップを辿りつつも時々キックを入れて、細い木々に掴まりながらぐんぐんと高度を上げて行く。このあたりが一番辛いところだが、決して急がずに自分のペースでゆっくりと登って行く。
時々歩を止めて振り返れば、眼下に百人浜からえりも岬へと広大な景色が広がっている。視線を移すとオキシマップ山やルチシ山が見えている。「さあ、もう少しだ!」慎重に一歩一歩残雪を踏みしめながら稜線へ飛び出した。

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標高870m付近で再び残雪の上を行く

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眼下に百人浜からえりも岬へと広大な景色が広がる

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オキシマップ山と右奥にルチシ山

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やっと稜線へ飛び出す

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稜線の東側の970.3mピーク

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