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黒岳石室からお鉢平展望台までは距離にして約2kmほど、高低差もあまり無い。それ故に簡単に足を踏み入れそうになるが、あくまでも天気次第である。黒岳石室の標高が約1890m、お鉢平展望台の標高が約2000m、そんな高地の気象条件は一旦荒れると非常に厳しい。遮るものの無い展望はそれだけ直接気象の影響を受けることにもなる。後述するが、これからそんな一幕も展開されることになるのだ。

相変わらず紅葉グラデーションが続いていた。私は段々贅沢に?なって、雲で日射しが遮られると小休止。紅葉は日射しを受けることによって輝きが一段と増すからだ。ジッと待つのだが・・・「残念だな~」とあきらめて前へ進んで行く。

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お鉢平展望台手前の登り


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ハイマツの緑が際立つ

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チングルマの果穂

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お鉢平展望台手前は少し登りとなるのだが、その付近は見事なナナカマドに包まれていた。まるで紅葉に迎えられるかのようにして~お鉢平展望台に立った。この頃になると上空は一面の雲に覆われていた。どんよりとした感じは否めない。眼下に大きくお鉢平が広がり紅葉も見られたが・・・

見上げる北鎮岳の山頂方面は雲に覆われ始めていたので、私達はここで引き返すことにした。往路のおさらいをするかのように、もう一度紅葉を楽しみながら戻って行く。「明るくなって来たよっ」一気に周囲が輝きだした。チングルマやクロマメノキの赤い絨毯の奥に北海岳、そしてその山肌に鮮やかに刻み込まれた紅葉模様はいったい何と表現したら良いのだろう。

「あっ、シマちゃんだっ」おばさんがそう叫んでカメラを向ける。ハイマツの中から飛び出して来たエゾシマリスは冬支度に忙しそうだ。盛んに頬袋の中に餌(植物の種子など)を詰め込んでいる。そして~まるでポーズをとるかのようにピョコンと立ち上がった。「可愛い~」私も思わずそう叫んでいた。

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ナナカマドの紅葉の中へ

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チングルマやクロマメノキの紅葉の奥に、北海岳を望む
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エゾシマリス(おばさん撮影)

石室方面はすっかり雲に包まれていた。暗い雲がどんどん流れこんでいる。「こりゃあもう紅葉はダメかな」そう思いながらも又写真を撮っていると・・・ついにポツポツと雨が来始めた。山での天候変化は速い、慌ててカメラをザックに入れてザックカバーをする。ほどなく雨脚がやや強くなってきて~そしてついにみぞれまで降り始めたのだ。あっと言う間の出来事だった。これが黒岳での今シーズンの初雪の記録だったらしい。

石室でとりあえず雨宿り、20分ほどすると雨脚も弱くなって来た。「よしっ、行こうか」私達は黒岳に向かって登って行く、段々と雲が切れてきて~黒岳から下る頃には雨も止んでいた。高度が下がるにつれて日射しも受けるようになる。まだ次から次へと登って来る人達、、、、「こんにちは~」「ありがとうございます」、譲り合いながらすれ違う。

マネキ岩周辺が日射しを受けて一段と輝いていた。

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押し寄せる暗い雲

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黒岳石室に向かって

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ついにみぞれが降りだした

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高度が下がるにつれて~日射しを受けながら

コースタイムは省略します

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