title

慎重にもう一歩踏み出そうとした時におばさんが叫んだ。「これって何?アイヌタチツボじゃない?」、どれどれと近づいてみる。「うん、間違いないね、随分淡い色をしているね」そう言いながらしゃがみこんでシャッターを押す。
立ち上がってもう一歩・・・「アズマギク咲いてるよ、ほらっ、ミヤマキンバイも」。それは岩塔の端っこに咲いていた。足場は問題無く確保は出来そうだが・・・「何もこんなところに咲かなくたって~」と思いながらザックを下す。ザックも間違って落としては大変だから、しっかりと場所を選んで~「ヨシッ」と指差し確認?。足場を選んで慎重にしゃがみ込む、シャッターを押す手も何となくぎこちない。

やっと撮影を終えて、一気に山頂へ登って行く。おばさんが待っていた、「そこにハクサンイチゲが咲いてるよ」・・・これまた絶壁の端っこ。ややビビリながら「こんな感じやろ~」となかば開き直ってシャッタを押した。いやはや厳しい撮影環境ではある。

1
淡い色合いだったアイヌタチツボスミレ

2
これは帰路に尾根上で見たアイヌタチツボスミレ

3
ミヤマアズマギク

4
ミヤマキンバイ

5
エゾノハクサンイチゲ

10時20分、黄金山の山頂に立った。先行していた単独の男性が休憩していた。程なく二人組の男性も登って来た。私達はザックを下して水分補給、山頂からの展望をカメラにおさめる。目の前に広がるまだ雪を抱いた幌天狗~群別岳、そして尾白利加岳から南暑寒岳と続く増毛山地がクッキリと見えていた。南東方面のピンネシリや神居尻山はかなり遠くに見える。

6

7
浜益市街方面

8
南東方面の展望  左奥に遠くピンネシリと神居尻山が見える

9
左から 幌天狗、群別岳、尾白利加岳

10
尾白利加岳と南暑寒岳(右)
画像クリックで幅1024ピクセルのパノラマ画像表示

山頂手前の岩塔で休んでいた単独の男性と入れ替わるように、私達は下山を開始した。山頂滞在時間はわずか10分ほど、とにかく一刻も早くこの高度感から解放されたかったのが本音のところでもある。直下から見上げる岩塔の上におばさんが立っていた。見るからに怖い光景ではあったが、私はしっかりとカメラにおさめていた。

急な尾根を慎重に下って行く。ロープを補助に岩場をクリア~梯子を下りてやっと休憩スペースまで下った地点でザックを下す。「ここまで来ればもう一息だよ」汗を拭いながらミネラル飲料を飲み干した。「新道ってこんなに凄かったかしら?」「いやぁ~2回下っているけど・・・そんな印象は残っていないよね。旧道の登りが印象に強く残っていたからかな~。はたまた歳のせい?」「そうかもね」。

毎度のことだが下山は花の撮り直しである。さすがに山頂部では登りで写しただけ。ゆっくりともう一度花々を楽しみながら下山して行く。

11
山頂直下から見上げる岩塔

12
コヨウラクツツジ

13
クシロワチガイソウ
14

急な尾根を下り切ってなだらかな笹原に出た。「あそこに登ったんだよね」もう一度山頂部を振り返る。「また来るかい?」そんな私の言葉におばさんは無言で答えた?。

12時20分、登山口に到着。「綺麗だったよね~」「そうだね、怖かったよね~」とすれ違いの会話を残して、私達は帰路に着いた。

15

コースタイム(含休憩&撮影時間)

登山口 08:15  旧道分岐 08:40  山頂 10:20-10:30  登山口 12:10

登山ものがたりへ HOME